演劇ユニットサンサン 3coins 舞台編 仮の初稿編 | この辺りの見所の者

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2024/6/1

15時の部

ココラボラトリー




秋田の劇団ウィルパワーの佐藤らん子さん大屋ゆきさん、元はちのすの高林瞳さんの3人の演劇ユニット。


何故行こうと思ったのは演出の人が気になったからだ。寺戸隆之さん。


最近、いろいろな演劇を観劇する機会が増え、演出の大事さを感じるようになってきた。役者自体の素材は良くても料理する演出次第で美味しくなるか、それなりになるか。



去年、本荘で観劇した演劇と同じ演出家の寺戸隆之さん。今回は脚本も書いている。その時のブログ↑


ノリの良いロックが爆音流れて3人が登場。場所は、とある喫茶店。明るくスタイリッシュなテンポで進んで行く。

女性バイト、コーヒー一杯で粘り続ける痛い常連客、歴女で恋に恋する女性の三人が繰り広げるある意味ドタバタコメディだけど、三人が背負っているものは結構重いものだ。


キーポイントは、信じる。

何かにすがる、信じる。

信じる事に依存する事で精神を保っている。


劇伴で流れるドヴォルザークの交響曲第9番、新世界。2楽章の家路、4楽章からの激しい旋律が引用されている。


この交響曲はドヴォルザークがチェコからアメリカに渡り、新世界のアメリカから故郷のボヘミア(チェコ)へ向けてのメッセージとされている。

劇の展開から、そこまでの深い意味ではなく新世界と言うワードが、信じていたものから三人が解放されたライトモチーフとしての意味なのか。深読みだろうね。2楽章は家路として有名で家に帰ろうと言う意味がある。爆音ではなく喫茶店のスピーカーから流れている音量の設定かな?


3人が信じているモノ、すがっているモノ。結局はオトコだったり宗教だったり音楽だったり。ポイントでは芯をつく台詞もサラッと出て来る。


シリアスだけど、ドロドロのパターンにならないでスタイリッシュなテンポ感で明の部分が浮き上がらせている。重いテーマを重くしないでテンポとキレのある台詞間の呼吸が、ベタっとならない空間となる。


この舞台は、観客席が円形劇場のように真後ろ以外を囲っている。席の角度によって舞台空間が違って見える。角度の違いから観る舞台と云う点で演出の妙が光る。


女性の役者さん三人自体は上手くてキャラに合う仕草や眼や表情。信じてるモノの度合いが3人の身体の密度で違っていた。宗教と身体の不調とマッチングアプリでは身体の密度は違うわな。それは、それぞれの台詞の声の密度と重心の違い。それが3人のリズムの違いが噛み合っていた。特に佐藤らん子さんの存在感がこの劇の心の柱になっている。


激しい動きでも空間が渦になってもバタバタしない。空間にあまりシワが無い。観ていて楽だった。もっさりした重さも無い。シャープなテンポ間を45分間キープし続けていた。演出家の演出か、役者が良いのかはわからないけど演技の顔芸がベタベタしてなくて必要以上の間の為めも無く、身体の密度の体幹がしっかりしていて観ていて気持ち良かった。三人の間がモタレなくて線として繋がる。


三人が信じているものは時代を反映しているけど、最初のギスギスしていた距離感から詰めての展開からの三者のトライアングル線の綺麗さ。空間に於ける立ち位置のリズム。劇伴のロックの様なグルーヴ感。

シリアスシーンでの新世界の劇伴も良い塩梅。シリアスを重く見せない。


タイトルの3coins。三百円ショップの事で、3人の女性が毛利元就のような3本の矢に例えられていた。


1人1人自体は100円の存在でも3人合わせて300円になる。3人が信じていたモノからの解放からノリの良いロックが流れ日常に戻り劇は終わる。解放はロールケーキを3人で食べる場面。案外、美味しいモノを食べるのが信じるモノから解放されるもんだな。


一見ハッピーエンドかも知れない


。もしかしたらひとときの解放で、また新たに信ずるものにすがるのかもしれない。美味しいモノを無邪気に食べていれば何とかなるとシンプルに考えてもよし。3人のパーソナルスペースのぶつかり合いから交ざり始めて3coinsになっていく過程を味わえる舞台でもある。


観客の想像の余白を残しているので、それぞれ感じるポイントの違いも楽しい。


テーマのシリアスさをキュートでポップな明るさの喜劇に仕上げた舞台。やや全体の重心を上げてモタれないようにしていた。

45分という上演時間も良かったかも。小気味良いテンポが終始ダレない時間としてはちょうどいい。


ココラボラトリーの空間がピタリとハマっていたのも言っておかねばなるまい。



6/2

当日リピート券。千秋楽の6/2の15時の部は当日券が5枚。そのうち昨日と今日の11時の部に来た人は、リピート券が500円。(常の当日券は2000円。午前中ウォーキングしている途中、ゲリラ豪雨てびしょ濡れで風邪気味だけど、風邪薬のんで、ココラボラトリーへ。


当日リピート券ゲット。当日券入場が開演10分前なので、ココラボラトリーの上の階のカフェエピスで雨宿り。