秋田でニッポン画家、山本太郎展とトークイベント | この辺りの見所の者

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2024/2/11

小松クラフトスペース

山本太郎・トークイベント「新しい昔ばなしの作り方」


秋田駅前にある小松クラフトスペース。山本太郎さんという画家は名前だけは存じていた。きちんと作品と対峙するのは初めてである。秋田公立美術大学、アーツ&ルーツ専攻 准教授を2013〜2018年まで勤めており、秋田とは縁のある方。

トークイベントは午前と午後の部があり、自分は午後の部に足を運んだ。


一応言っておくが、メロリンQの山本太郎氏とは別人である。


会場に早めに行ったので、トークイベントのお客さんが来る前にじっくりと作品を見る事が出来た。山本太郎さん、小松クラフトスペースの店主に撮影の是非を問うと OKで SNSも OK。


トークイベントは、聞き手が小松クラフトスペース店主の小松和彦さんで五つのトピックに沿って進行。


① 日本画

②企業コラボ

③秋田での活動

④絵本「新しい昔ばなし・つなぎまちと130人のこどもたち」

⑤作品について


①最初の日本画をニッポン画として表記した理由として、古典絵画に現在と交わらせる事として京都の美大時代に歴史ある建物の側にコンビニが当たり前の様にある情景のギャップにビビビと来たとのこと。


②企業とのコラボのキッカケと難しさにおいてのトーク。オフレコ話も結構あった。

オマージュに関しての欧米と日本との違いについての話が興味深く聞いた。


③秋田での活動として秋田公立美術大学に5年間 准教授として関わっていた話から、秋美にあるアーツ&ルーツ専攻について、他の美大には無いもので、もっと評価されても良いとの事。

現代アートにわかの自分だけど、VOCA賞に2年連続で秋美から大賞が出ている。更に4年間で3人の大賞受賞者が秋美から出ている。ちなみに山本太郎さんも2007年のVOCA大賞受賞者。 


④絵本についでの話は、山本太郎さんは熊本県出身。津奈木町という人口2500人以下の町の80〜90代の高齢者からフィードワークで聴いた話を絵本にしたもの。町立美術館もあり、戦争体験から高度経済成長時代、また水俣の隣町である事から水俣病についての人生体験が絵本に繋がっているとの事。津奈木町が古代の将軍を祀った神社かまあるなど知らない話を聴く事が出来た。


⑤作品について。

小松クラフトスペースの山本太郎展会場には歌舞伎の演目、暫の作品シリーズがある。

手書き作品


歌舞伎の演目、暫をシルクストーンにした作品。トークイベントで、山本太郎さんが話していたが、ポップアートのアンディ・ウォーホルからインスパイアされたらしい。

明治の浮世絵師、豊原国周から役者絵から影響を強く受けたとのこと。国周の当時の破天荒さは今ならコンプライアンス的に完全にアウト。

このシリーズ、山本太郎さん曰く、推し世絵と名付けたとの事。


北斎の神奈川沖浪裏をポップアートにしたような作品も会場に展示していた。ネオ浮世絵と名付けたとの事。


個人的にテンションが上がった作品がある。

タイトルは葵上ネグリジェ。思わずニヤリ。

能の葵上の後場で、能では小袖が置かれているがネグリジェ。古典絵画と現代が交わるニッポン画だ。後場の般若の面に前場の泥眼の面が隠れている。現代のネグリジェと六条御息所の心情が見えるニッポン画。

秋田との関わりでは、


琳派の画角に秋田の風車。結構馴染んでいる。


琳派自体が世襲制では無く、町民のための絵であり、いまでいうオーダーメイドも受けていた歴史から現在の琳派としての山本太郎さんの活動は琳派の継承者であるなと思えたりする。

山本太郎展  ニッポン画 初花月
2024年2月2日〜24日まで、小松クラフトスペース。