凄演、フィリップ・カサールピアノリサイタルin秋田・潟上国際音楽祭秋公演 | この辺りの見所の者

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第1回 秋田・潟上国際音楽祭2022秋公演。

春公演は


の2回観にいきましたが、秋公演は自分の都合が合わなくてラストのフィリップ・カサールピアノリサイタルのみ。勉強不足でフィリップ・カサールの名は知らなかった。ナタリー・デセイの伴奏ピアノを勤めているとのこと。YouTubeにも動画あったので観たら、ピアノの鳴らし方が素晴らしいなとと思えた。




席は左側中央やや後ろ。


プログラム


プログラム解説もあり、おそらく佐市さんが書いたと思われる。目から鱗だったのはドビュッシーはリズム作曲家であると云う事。ドビュッシー風は数多くともドビュッシーになれない理由はリズムを真似出来ないと解説。ドビュッシーは好きな作曲家なんだけど、ハーモニーの方に耳が行きがち。リズムを意識して聴かないといけないなと思いながら、リサイタルは始まった。


モーツァルトからフィリップ・カサールのピアノの鳴らし方の見事さに耳が喜んでいる。アトリオン音楽ホールの音響を理解してのピアノのタッチ。モーツァルトの曲の構築が完璧なリズムで響いてる。ピアニッシモからフォルテッシモまでの鳴らし方のコントラストも素晴らしい。モーツァルトをリズムの観点から聴くことが出来た。


ドビュッシーは絶品。水を中心にした曲が並んでいるが、ドビュッシーはリズムなんだと納得してしまう演奏。曲によって彫琢の構築の違いをタッチとペダルコントロールで弾き分けている。リズムと呼吸がリンクしていて、個人的には沈める寺の演奏が白眉。音色をやや広げて水墨の淡さが出ていた。


休憩後はシューベルトのピアノソナタ第20番。特に第2楽章の深淵さと歌と印影が絡む第4楽章が素晴らしい。モーツァルトもドビュッシーもシューベルトも平面でベタッとはしていなくて、立体的な構築の演奏。なかなかこう云う演奏には御目にかかれない。

リズムも完璧で呼吸の塩梅も見事。テンポは速めだけど自然なルバートでベタ臭くない。


凄演としか言いようがない。


アンコール

シューベルト即興曲変ホ長調 90-2

ドビュッシー 月の光