↑のつづき。

さて、イザナミに終われて黄泉の国から逃げていくイザナギ。

その道のりを『黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)』という。

その具体的な場所は何処なのか。


実は、阿波古代史をよく知る方ならもはや基本中の基本と言っても過言ではない。


前回の記事では、イザナミが葬られた『比婆山』は、阿波徳島の高越山だった…というところまで書いた。



イザナギは、「見てはならない」と言われたにも関わらず、変わり果てたイザナミを高越山で見てしまい、追いかけられ、黄泉比良坂を逃げていく。


では、簡単に黄泉比良坂の場面をおさらい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
イザナミは、黄泉の醜女に命令してイザナギを追わせた。
そのときのイザナギの行動は、

①黄泉の国から逃げ出す

②逃げる途中、髪を束ねていたカズラをほどいて投げる。

③カズラから山葡萄の実が生り、醜女がそれを食べている間に逃げる。

④また醜女が追ってきたので、右の頭に指していた櫛を投げ捨てる。
そこからタケノコが生えてきて、醜女がそれを食べている間に逃げる。

⑤今度は八柱の雷神まで追ってくる。

⑥黄泉の国の急な坂の麓まで逃げる。

⑦坂の麓に生っていた桃の実を三個取り投げると、桃の呪力により、黄泉の国の住人達は坂から逃げ帰った。

⑧この坂は「黄泉比良坂」または、
 「出雲の伊賦夜坂(いふやさか)」という。

⑨最後にイザナミ自身が追いかけてきた。
 イザナギは黄泉比良坂に千人で引くような巨大な 岩「千引き岩」で道を塞ぐ。

イザナギは岩の向こうで対面しているイザナミに別れを告げた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~



さてさて、現在の黄泉比良坂の伝承地は、出雲にあるとされている。

島根県松江市東出雲町揖屋には
黄泉の国と現世の境目があり、
『千引き岩』もある。

そこにある千引き岩は、高さも幅も約2mほど。

それぐらいの大きさの岩を引くのには、千人も必要ないのではなかろうか。
※もっとも、「千引」が元々「線引き」で、
境界を意味する言葉と解釈するなら、「千人で引く」の基準は意味を成さないが。。



と、いうような疑問を踏まえて、お待ちかね、
「黄泉比良坂は阿波にあった説」がコチラ↓


~~~~~~~~~~~~~
①黄泉の国から逃げ出す
⇒イザナミの死体がある高越山から逃げ出す


②逃げる途中、髪を束ねていたカズラをほどいて投げる。
⇒徳島県勝浦郡上勝町には、
「雄中面(オナカヅラ)」の地名がある。


③カズラから山葡萄の実が生り、醜女がそれをべている間に逃げる。
⇒徳島県勝浦郡上勝町には、
生実(いくみ)」「喰田(しょくた)」の地名がある。


④また醜女が追ってきたので、右の頭に指していた櫛を投げ捨てる。
そこからタケノコが生えてきて、醜女がそれを食べている間に逃げる。
⇒上勝町の南の山を越えた徳島県那賀郡那賀町には、竹ケ谷」の地名がある。


⑤今度は八柱の雷神まで追ってくる。
⇒竹ケ谷の付近に「旧八面(やつら)神社」があり、石灯籠の柱は、の節になっている。


黄泉の国の急なの麓まで逃げる。
⇒那賀町の山深く曲がりくねった坂道を
昔から「ヨミ坂」と呼んでいた。
道路標識には「四方見坂(ヨミザカ)」と書かれている。


⑦坂の麓に生っていたの実を三個取り投げると、桃の呪力により、黄泉の国の住人達は坂から逃げ帰った。
⇒那賀町谷内の八幡神社の裏側には
を型どった瓦」があった。
※現在は那賀町教育委員会にて保管

裏側にあるのは、イザナギがの樹に隠れながら実を投げたからである。

また、「合(もあい)」「の木坂」「付」等、この地域には桃にまつわる地名が点在している。

八幡神社の近くに「の宮神社」があり、付近の谷内川の向こう側の地名は那賀町平野字船戸

イザナギが黄泉の国から逃げ帰り、御祓をした時に現れた神は、「衝立船戸神(ツキタテフナドノカミ)」である。


⑧この坂は「黄泉比良坂」または、
 「出雲の伊賦夜坂(いふやさか)」という。
⇒ヨミ坂の付近には「ユヤノ坂」がある。
「伊賦夜」は「ユヤ」が転訛した言葉である。

また、ユヤノ坂の付近には「湯谷神社」が鎮座している。


⑨最後にイザナミ自身が追いかけてきた。
 イザナギは黄泉比良坂に千人で引くような巨大な 岩「千引き岩」で道を塞ぐ。

⇒那賀町内山日浦には、巨大な岩が道を塞ぐかのように存在する。
※現在は「千引の岩」の看板が立っている。

また、この巨岩の上には、「坂本」の地名があり、古事記の「黄泉比良坂の坂本に到りし時」の記述と合致する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここまで、神話の内容と地名がリンクすることが、他の地域にあるだろうか。


ここまでの「黄泉比良坂は阿波にあった説」を地図にするとこうなる↓

これなら、出雲⇒日向の距離に比べれば、現実的な距離感だと思われる。


こうして、黄泉の国を脱出したイザナギは東の果てに向かった。

その場所を地図上で見ると、
⑩竺紫の日向の橘の小門の阿波岐原。



この話がまた面白いのです❗



つづく。



ではまた❗



参考資料↓




人気ブログランキング