ホテルマンは3年で辞めました【39.抜く時は抜く!】 | SHOW-ROOM(やなだ しょういちの部屋)

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「前の職場に彼女がいるんだよ。」


「それは不倫って事ですか?」


「ああ、まあそうだな。」


「相手は幾つなんですか?」


「21だよ。」


「奥さんにバレてないんですか?」


「バレてねえよ!別にバレてもいいと思ってるよ。」


「えーっ!何でですか?奥さん幾つですか?」


「女房も俺と同じ28だよ。」


「離婚したいんですか?」


「出来るならしたいな。」


「彼女と結婚したいんですか?」


「そこまではまだ考えてないけど、女房とはもういいかなって感じだしな。」


「23で結婚してるから、まだ5年じゃないですか!しかも子供がいるのに、可愛くないんですか?」


「子供は可愛いよ(笑)」


「じゃあ不倫なんてしないで奥さんだけを愛しましょうよ!」


「それはもう無理だな。」


「どうしてですか?」


「夫婦なんてそんなもんだぜ。」


「いいえ!違うと思います!」


と、俺が思わず熱くなって来たところでマネージャーが戻って来た。


「何も無かったか?」


「はい、大丈夫です」と、松田さんが答えた。


「チェックアウトが多いから、お釣りとか間違わないよう落ち着いてやれよ!」


 朝6時を過ぎた頃から、ちょろちょろチェックアウトをする客が下りて来る。


落ち着いてキーボードを叩き、間違わないように釣り銭を渡す。


この動作を毎回繰り返しているうちに気づいた!


あれっ?


Hホテルならリザベーション、キャッシャー、レセプションって、それぞれカウンターが別れていたよな。


これって・・・フロントはシティーホテルよりビジネスホテルの方が大変じゃん!と。

 

そんな事を思いながらチェックアウトを捌いていると、7時を過ぎた辺りからはフロント前には行列が出来て、まるでスーパーのレジの様な感覚で次々に渡されるルームキーを受け取ってはキーボードを叩いていた。


平日のせいか、チェックアウトタイムである10時前には殆どの宿泊客がアウトしていただけに忙しく、最初から1時間残業となっていた。


中々ハードなナイト勤務だったが、振り返ってみればめちゃくちゃ忙しいのは21時前後と、朝の7時過ぎの2回と思えばそこだけ集中し、あとは力を抜いてやればOKだと、Hホテルのセントジョージで内田さんから学んだヤル時はヤル!抜く時は抜く!という教えを、帰りの電車の中で思い出した俺だった。





〜つづく〜




📕小説を読まない俺が書いた小説📕