坂道発進といえば何年か前にも記事にしたけど、ホテルマンを辞めた後に転職した運送会社でのこと。
当時20代半ばだった俺は通常は某アパレル会社の倉庫に毎朝行き、ハンガーにかけられた紳士服&婦人服を3t車に積んでデパート納品をしていた。
3年目になると引越し部隊に移動になり、大きな引越しや長距離の引越しでは4tロングを運転していたのだが、ある日は千葉県まで少ない荷物を運ぶだけの仕事だったので2t車で1人で気楽な仕事になるはずだった。
だったとは、いざ会社を出ようとしていた時、部長が「あ、今日一緒にA子さんも乗せて行って!最初から彼女に運転させて行って来て」と。
A子さんとは、昨日入社したばかりの20歳の茶髪の女の子。
気楽な1日になるはずが、新人に仕事を教えながら千葉まで行くことになり、とりあえず俺は助手席に。
「トラック運転したことある?」
「いえ、初めてです。」
やや不安を抱えながら出発したものの、会社を出て3分で難関が。
それは環八に出るには登り坂があるのだった。
信号に引っ掛からなければいいのだが、見事に坂の途中で信号に引っ掛かってしまう。
「坂道発進は大丈夫?」
「はあ、多分イケると思います。」
そして、信号が青になると、トラックはサーッと後ろに下がった。
ガックン!と、ブレーキ。
幸い後ろの車には当たらなかったが素早く運転を交代し、結局その日は会社に帰るまでずっと俺が運転したのだった。
そして翌日、俺が引越しの4tトラックで出ようとしていた時、ベテランの40代のBさんに呼び止められた。
「ヤナダ、昨日Aと一緒だったの?」
「はい、一緒でしたよ。」
「俺が今日連れて行くんだけど運転大丈夫だった?」
「え、まあ大丈夫でしたよ💦」
その日はベテランのBさんと2人でどっかまで行く仕事らしく、やはり部長からA子さんに運転させるように言われたという。
その夜、帰社後ロッカーで着替えているとBさんも帰って来て、俺を見るなり「お前!彼女のどこが大丈夫なんだよ!まるっきりダメじゃねえか!」
「えっ?運転させたんですか?」
「だって部長から言われたからな。」
「1日中ですか?」
「そうだよ。」
「今の今まで?」
「ああ、そうだよ。」
「へえ、凄いですねえ!よくそんなに運転させられましたね(笑)」
「え?お前も運転させたんだろ?」
「はい、最初の3分だけ。」
「ウッソ!お前なぁ・・・」
「だって坂道発進で下がっちゃったんだもん!」
結局そのA子は1週間で辞めていきました。
それから現在も、運転が下手な人の助手席には乗れません。

