ホテルマンは3年で辞めました【34.新たなスタート】 | SHOW-ROOM(やなだ しょういちの部屋)

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 某大手企業が運営しているビジネスホテル。


ビジネスホテルだし、シティーホテルのHにいたのだから当然受かると思っていた。


案の定、1週間程で書類審査通過の通知が来て、後日面接となった。


当日は秋葉原の自社ビルが面接会場で、ホテルがオープンするのは3月となり、採用された場合は開業準備室となるこの自社ビルに通い、オープンするまでは座学が中心になるという説明があった。


面接官はホテルの代表、支配人、フロントマネージャーの3人で、1人ずつ別室に呼ばれて行われた。


俺がまず聞かれたのは、なぜHホテルを辞めたのか?と想定内の質問だったので、Hホテルでは最初に料飲部門に配属されてしまうとフロント部門には行けなかった事、ウエイターは向いてない事などを語ったのだが、なぜウエイターは向いてないと思うのか?という想定外の質問もされてしまう。


「お客様のテーブルから下げて来た皿の中に、まだ知らないソースがあった時、その味を知っておく為に指に少し付けて舐めて味を覚えるようなことがウエイターにはありがちですが、自分はそこまで料理に興味が無いですし、そういう事までしてウエイターに染まりたくなかったので・・・」


と、そんな風に答えた記憶がある。


結果は週明けにも連絡すると言われたが、この時も自分は当然受かるものと思っていた。


そして次の月曜日に、やはり採用!という電話をもらい、翌日から9時ー5時で開業準備室での新たなホテルマン生活が始まった。


 採用となったフロントメンバーは、30歳の川村さん、28歳の松田さん、24歳の野川さん、藤田さん、そして女子で24歳の田宮さん、橋本さん、新卒女子で18歳の谷川さんと、22歳の俺という総勢8人が新規オープンホテルのフロントスタッフの面々である。


その中でホテル経験者は松田さん、藤田さんと女子の田宮さん、橋本さんだが、松田さんはPホテルに在籍していたのを一度ホテルマンを辞め、デパ地下の中に入っている豆腐屋から再度ホテルマンに戻って来たという面白い経歴だった。


あとの3人はビジネスホテルからの転職である。


新卒女子の谷川さんは別として、経験者達は皆Hホテルより格下のホテル出身なので、俺が採用されたのは当然だという思いは更に強くなっていたのだった。


フロントスタッフの上司には、親会社から出向の60代の長谷川代表、同じく60代の柴田支配人、50代の瓜田経理課長の3人がホテル業を知らない出向組、あの帝国ホテルから来た浜田副支配人、東急インから来た佐竹フロントマネージャーの2人のホテルマンが直属の上司という事で、これから新たにオープンするホテルは動き出したのだった。


〜つづく〜