「この世にたやすい仕事はない」
津村記久子
コレの続きです

最終話
「大きな森の小屋での簡単なしごと」
主人公が次に紹介されたのは
「大林大森林公園」という広大な自然公園の奥にある小屋で
日がな一日、イベントチケットの準備をしたり
時折周囲を見回るなど、のんびりした仕事
しかししばらくするうち、
主人公は、誰かが小屋にこっそり訪れているのを感じる…
この森に、誰かが潜んでいるのではないか…?
仕事をしていると、職場で費やす時間は長ければ長いほど
職場の環境や仕事へのモチベーションが人生に大きな影響を与える
だけど人はそれだけで生きてるわけではもちろんなく、
贔屓にしているサッカーチームの勝ち負けなんてものも、同じく人生に影響したりする
森に潜んでいる人物は、
そういったいろいろなものが積み重なり
ある日すべてパンクしてここにやってきました
そしてそれは、
長く働くだろうと志を持って勤めた仕事をバーンアウトして辞め
「とにかく辛くない仕事」を求め転々としている主人公にも共通している
最終章でやっと、
主人公がバーンアウトした一番初めの仕事の詳細が明かされます
仕事というのは真剣に取り組めば取り組むほど
喜びだけでなく虚しさや徒労も生まれる
でも、やはりどんな仕事についても
結局は真剣に取り組んでしまう
そんな不器用で真面目な人たちが
あるとき行き先がわからなくなって
仕事を転々としたり森に潜んだりする
だけど、きっとそれは無駄な時間じゃなかったのだと私は思う
どんな仕事も、どんな生活もそれなりにやれる
それを知ることは自信がつくとともに視野が広がることだと思う
そんな主人公に、また奇跡のような巡り合わせで
新しい仕事の話がやってくる
過去のトラウマと向き合うことになるかもしれない仕事
もちろん不安はあるが、
きっと何が起こってもなんとかなる
これまでの5つの仕事を通して、そう思えるまでに主人公の心の準備が整ったのだと思った
2話目の江里口さんと仲良しになっていたのもホッコリした
これだけでも、主人公にとってこれらの仕事はプラスだったと思う