管理会社が責任を持たない擁壁の管理 | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
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こんにちは! 廣田信子です。

 

3年前、逗子市でマンションの敷地斜面が崩落して、

下の歩道を歩いていた高校生が死亡した事故がありました。

 

遺族が区分所有者の住人や管理会社などに

損害賠償を求めた訴訟で、

 

住人側が賠償金として1億円を支払うことで

和解したとの報道が昨年6月末にありました。

 

弁護士さんの言葉として、

共に暮らす地域住民でもあり、

ご遺族の意向で和解に応じることにしたと言います。


しかし、事故前日に斜面の亀裂を発見した管理員から

連絡を受けたのに安全対策を怠ったとし、

管理会社側に賠償を求める訴えは続いていました。

 

12月15日の判決で、横浜地方裁判所の裁判長は

「事故の前日に、マンションの管理人が

斜面に複数の亀裂を見つけて

 

管理会社の担当社員に相談していたことから

会社側は崩落の危険性があることを認識できた」

と指摘しました。

 

そのうえで

「会社側は、市に連絡して

崖の下の道路を通行禁止にするよう求めるなど

事故の発生を回避できたのに、対応を怠った」として

管理会社側の責任を認め、107万円の賠償を命じました。

 

判決のあと、遺族は弁護士とともに会見を開き、

「管理会社が適切に管理するという当たり前のことを

きちんと認めてくれた。

 

娘は二度と帰ってこないが、

私たち家族にとっても救いになった判決だと思う」と

述べられました。

 

一方、この事故で業務上過失致死の疑いで

書類送検された管理会社の社員を

検察が13日不起訴にしたことは不当だとして、

 

近く検察審査会に審査を申し立てる意向を明らかにしました。

 

確かにこの管理会社に対し、

107万円の賠償では額が少な過ぎると思いますが、

 

この社員の責任を問うかと正直、複雑な思いがしました。

 

この事故は、

昨年9月改正の標準管理委託契約書にも

大きな影響がありました。

 

この件を受けて、

管理業者の受託する管理業務の範囲が明確に規定されるよう、

契約締結に際し、その内容を双方が明示的に確認すべきことを

コメントに記載しています。

 

さっそくこの管理会社の管理委託契約書では、

点検業務の中から

「敷地及び擁壁部分は外観目視の対象に含まれないものとする」

として抜いています。

 

これによって、

擁壁等を有するマンションは、

 

今後の管理をどうするかを

真剣に考えなければなりません。

 

 

 

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