幸せに生きている人は、笑顔がいい。
特にこの人の笑顔は滋味が滲み出ている。
ボクも「人たらし」を自認しているが、この人にはかなわない。
私利私欲のない笑顔に、誰もが心を開き、心を鷲掴みにされる。
大久保寛司さんは、日本IBMという大組織の社風を変えた男だ。
日本IBMのCS担当部長として、顧客重視の仕組み作りと意識改革を行った。退職後、「人と経営研究所」を設立し、20年間にわたり、人と経営のあるべき姿を探求し続けている。
講演やセミナーは、参加者の意識を大きく変えると評判を呼び、全国からの依頼が引きも切らず、のべ10万人以上の人々の心を動かしてきた。企業の幹部対象のリーダーシップでは、行動変容を起こす人が続出している。
だが、強烈なエネルギーで人を動かす人ではない。
ただ、そこにいるだけで、何かを変えてしまうエネルギーを発する人だ。大久保さんを「樹木」のような人だと例えた人もいる。
包み込む。受け入れる。ジャッジしない。
相手を変えようとはせず、相手が自分から変わるのを待つ。
そのために、自分の価値観を当てはめず、ひたすら聴く。
良し悪しで判断せず、相手のすべてを受け入れる。
心からそう思えた時、言い方もやわらかくなり、和やかな表情となり、思いは波動となり相手に伝わり、自然と、周りの人が輝きだす。
大久保寛司とは、そんな人だ。
大人の寺子屋での対談も、大久保さんの柔和な笑顔に包まれながら、
幸せな時間を過ごした。幸せ問答をしているようだった。打てば響く小気味のいい問答だった。
その問答を聴いていて、「村上さんが寛司さんの曼荼羅のような智慧の世界を分かり易く、笑いを交えスルスルと届けていく様子が心地よい智慧の空間でした」と評した人がいた。言い得て妙。嬉しい感想。
(この項、つづく)