会社は変わる | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

1万人の会社の風土を3年で変えた伝説の男の物語を読んだ。

著者は、園田ばくさん。

 

モデルは、大久保寛司さん。

日本IBMのCS担当部長として、顧客重視の仕組み作りと意識改革を行った。退職後、「人と経営研究所」を設立し、20年間にわたり、人と経営のあるべき姿を探求し続けている。

「経営の本質」「会社の本質」「リーダーの本質」をテーマにした講演・セミナーは、参加する人の意識を大きく変えると評判を呼び、全国からの依頼が多数寄せられ、のべ10万人以上の人々の心を動かしてきた。

特に、大企業・中小企業の幹部対象のリーダーシップ研修、全国各地で定期的に開催されている勉強会では、行動変容を起こす人が続出している。

 

事実は小説より奇なりというが、この小説は、企業名や個人名は変えてあるが、ノンフィクションノベルだ。ほぼ実話に基づいている。

序文の中で、大久保さんは、「会社の風土を変えることは可能だ」と言い切っている。思いのエネルギー、思いの深さ、強さが人を動かす。

大企業であろうと、「知恵と愛と情熱」があれば変えられる。

一社員が会社の仕組み、風土を変える、風土改革のきっかけをつくり、全社をその渦に巻き込むことも可能だと、経験上、大久保さんは断言する。

たった1人の社員の本気とあり方から、奇跡のように、会社の社風は変化していく。私利私欲では決して湧いてこない、本来誰もの心の中に無眠っている「純粋な心」。それは、理不尽を排して多くの人が幸せになるための変革のエネルギー。これこそが変革を実現する鍵である。変革を推進する人は、信頼される存在、常に自分に指を向けられる存在、何より本気であることが大事だ。

 

小説の主人公である永田誠一(たぶん=大久保寛司)は…

少しも緊張しない。

営業の現場上がりのギラギラ感がない。

偉そうな感じもない。

いつもニコニコして表情が読めない。

学生時代から「場を見通す力」を培ってきた。

「無理」という言葉は辞書にない。なんとかなる。

いつも本音で語る。言いたいことをまっすぐ言う。

「青臭さ」を残している。

 

極度な緊張症。

話すより、静かに物事を観察するのが好き。

子どもの頃、貧血や脳震盪を起こす弱虫。

小学生の頃、ラジオから流れる落語を聞いていた。

大学受験にことごとく失敗。

ヒッチハイクで旅。お年寄りやイカツイ男にモテた。  

 

会社に入ってからの永田誠一(たぶん=大久保寛司)は…

目の前のことに「誠」でぶつかっていく。

小さき声を聞きとって掬いあげてきた。

売り上げ第一主義でなく顧客第一主義で。

プレゼン100回は練習して会議に臨む。

沈黙の効用を活かしたプレゼン。

真剣なヒアリングと速やかなレスポンスを大事にする。

やる気があるという言葉は信じない。取り組んだ時間で評価する。

「たぶん」「がんばる」と定量化出来ないものは事実でない。

資料が綺麗で分厚いものは、そのほとんどがウソ→説明書A41枚化。

 

そして、企業風土を変えていく中で、挨拶運動に取り組む。

挨拶は、CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)の要。

事実データに基づかないと、精神論では話は進まない。

8000人が使う本社玄関で、挨拶チエック。挨拶しない人がほとんどと判明。社長自らが率先して、「あいさつ運動」と書いたタスキをかけ、玄関で出勤する社員に挨拶。「幼稚園並みの挨拶運動」と揶揄されたが、この運動が功を奏し、挨拶が出来る会社になっていく。

 

そうして、顧客支持ナンバーワン企業、社員満足度の高い職場が実現する。社員が幸せであることは、家族が幸せであることに1ミリの違いがなかった。会社も愛したが、7人の子がいる家族も懸命に愛した。

 

永田誠一(たぶん=大久保寛司)は…学生時代から「人はなんで生きているのか」…考え続けていた。

なかなか答えが見つからなかったが、ようやく気付いた。

「死ぬ最後の最後に、自分で自分に○をあげたい」

そのために誠に生きた記憶を紡いでいきたい。そう18歳の時から想い続けている。

途中や過程も、すべてを楽しむ。

何かを変えようとするとき、対峙するのは相手ではない。自分自身だ。
 

 

 

6月7日の大人の寺子屋ゲストは、大久保寛司さん!