論語知らずの論語塾98~ジンジンする時間 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

論語知らずの論語塾。

きょうは、「仁」スペシャル。

500あまりの論語の中で、孔子が「仁」に言及したのは100ほどある。

つまり5分の1は「仁」だ。

「仁とはなんぞや」と、弟子たちからの問いに答える形で、多くの事例を紐解いている。   

仁について、最もわかりやすい例えは何かと、安岡塾長に質問したら「

克己復礼」と即答が返ってきた。これは弟子の顔淵の問いに対する答え。己に克(か)ち、礼に復(かえ)る。つまりは、私利私欲に打ち克って、人としての真の道に立ち返ることが仁というものだ。

 

樊遅(ハンチ)という弟子は、質問魔だった。

中でも、「仁」について3回も聞いている。

孔子は3回とも違う答え方をしている。

「難しいことを先にして得ることは後に回すこと」

「人を愛すること」

「だらしない恰好をしないこと。慎み深くすること。真心を尽くすこと」

 

仲弓の問いに対しての答えは、こうだ。

「人に心を込めて接する。丁寧な態度を忘れない。つまりは、自分がされたくないことは人にしないことだ」

 

司馬牛に対する答えが、

意外性もあるが、ことばのタネマキストのボクは好きだ。

「つっかえつかっえ話すこと」だというのだ。

流暢に淀みなく話すということは、考えていない証拠だ。

真剣に言葉を選びながら話す人こそ仁者、

信頼に足る人だというのだ。

ことばの引き出しから、その場その時に相応しい言葉を

吟味に吟味を重ねて使うことが大事。

「立て板に水」でなくていいのだ。