山之内淡さんは、38歳。新進気鋭の建築家だ。
建築家になることは早い段階で決めていた。
建築家の父、彫刻家の母、音楽家兼画家の姉という家庭環境で育った。中学生の頃から父の仕事を手伝ったり、著名な建築家の方とも交流があったり…子どものころから建築というものに触れていた。
建築をつくって終わらせるのではなく, 「建築家の立場から, 建築を伝える力」を身につけることを目指し, 博報堂で広告畑の経験を積んだ。
その後、故郷である札幌に一度戻り、父の傍らで建築設計に従事し、
2018年、東京を拠点とする建築設計事務所を設立した。
日本古来の思想, 「人・モノ・動植物のすべてに神さま(魂)が宿る」という独自の建築思想を持つ。
新たな建築家としてのワークスタイルを、具体的な実例を通して提案している。
北鎌倉の風景に惚れ込んだ。
保存されるべくして保存されてきた街並み。
「ジプリ」みたいともいう。
野放しの自然でもなく都市公園のような整備されたものでもなく、里山のような懐かしさも新しさもある。
そこに、「猫とくらすための家」を設計し住んでいる。
施主は、猫さま。真ん中に大きな空間があり、その上に天窓。その窓で家全体が明るい。階段の高さなども猫にとってちょうど良い高さ。
猫が歩きたくなる手すり。外を眺めるための窓。
キャットツリーのような猫にとって居心地の良い家だ。
自分のいる「空間」をすべて見てもらって、信頼関係を築くことが大事。
自宅のすみずみまで見せて、いわば「商談」に使っている。
無機質のようでいてそうでもない。
整っているようで整っていない。
剥き出しのようで剥き出しでない。
絶妙のバランスで出来上がっている。
もともとショートスリーパーなので、1日の睡眠が4時間くらい。
朝6時には起きて、まず飼っている猫たちの世話。そして散歩。
妻が会社員なので駅まで送っていって、9時ごろには仕事を始める。
自宅兼事務所なので移動に使う時間はいらない。
移動して、仕事へとオンオフを切り替えるというより、ゆるやかに仕事に取りかかるリズムのほうが合っているようだ。
夜中の1時くらいまでは作業をしている。
設計のオファーも次々舞い込んでいる。
鎌倉で出来ること、鎌倉だからやりたいことを模索している。
海外も見据えている。
にこやかな爽やかな青年だが、
淡々とした語り口に「野心」も見え隠れする。
堂々とした施主さま
スッキリ整然
デンマーク製の蛇口。水を出したくなる。
必要最小限の洋服しかない。
外観
山之内淡さんへインタビューした
『ナミの鎌倉ナビ』は、4月10日13:30~、21:00~の
放送予定。