宮崎駿ワールド | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

宮崎駿監督の最新作。アニメーション映画。冒険活劇ファンタジー。

吉野源三郎の小説「君たちはどう生きるか」からタイトルを取った。

事前にわかっていたのは、これだけ。

宮崎駿監督の10年ぶり最新作長編アニメ『君たちはどう生きるか』は、一切の宣伝をしなかった。

情報らしいものは、ポスター1枚だけ。予告動画は無し。簡単なあらすじ概要も無し。パンフレットは後日販売。キャストや主題歌の情報もなし。徹底した秘密主義を貫いた。

だから、よけい見たくなるというのが群集心理。

観客にしてみれば、「事前情報一切なしで話題作を観に行く」という稀有な体験ができるともいえる。

14日に公開されて以来、案の定、観客動員はうなぎのぼり。ボクも、間隙縫って、稀有な体験をしてきたが、午前中にも関わらず、客席はかなり埋まっていた。

 

日本を代表するアニメーション・スタジオ「スタジオジブリ」をけん引してきた宮崎駿さん。

『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)で映画監督デビューを果たした。『風の谷のナウシカ』(1984年)でオリジナルの世界観を創り上げる才能を証明した。

そして2013年の『風立ちぬ』で引退表明したが、、『毛虫のボロ』といった短編は制作はしていた。

しかし、2017年に長編映画の制作に復帰したことを公表して、引退を撤回した。

 

それこそ、ネタバレになるから映画の内容には触れない。

ひとことだけ言えば、戦争で母を亡くした少年が異世界を旅することで、現実世界を受けいれて成長する冒険譚と言える。

これまでの宮崎アニメで描かれてきた手法の集大成とも言える。

宮崎さんの戦争体験の記憶、神話世界に通じる精神性も、画面に現れている。

アオサギ、ペリカン、インコ…。この映画には、ひとつの象徴として鳥たちが登場する。ペリカンやインコは、想像を絶するような「群れ」となって登場する。この群れこそが、戦争にも導き、平和にも導く「群衆心理」とも映る。

宮崎さんから「君たちはどう生きるか」とまっすぐな問いかけをされたような気になった。答えが容易に出ないが…。