共感共鳴することばかり。
何度も何度も、うんうん、そうそうと頷きながら読んだ。
気になることばをチエックしていたら、マーカーで本は赤く染まった。
『救う力』。いつも本気で動いてきた医師の吉岡秀人さんの著書は、
多くの人を救う力を持っていると思う。
大阪府吹田市出身。大分大学医学部卒業後、大阪、神奈川の救急病院などで勤務した。その後、1995年から1997年までミャンマーで活動。 その後、岡山病院小児外科、川崎医科大学小児外科講師などを経て、2003年から再びミャンマーで医療活動を再開。
2004年、国際医療ボランティア団体「ジャパンハート」を設立。
ミャンマー、カンボジア、ラオス、日本で医療支援活動を行う。
医療活動のほか視覚障害者自立支援活動、エイズや貧困で人身売買の危険にさらされている子どもたちの保護と養育施設「DreamTrain」の運営などを行うなど、その活動は多岐にわたる。
人は、吉岡さんのことを「ウルトラマンみたいだ」と呼ぶ。
15歳のとき、アジアやアフリカの悲惨な現状を知り、
ウルトラの戦士になりたいと思った。
地球を救うウルトラマンは、大きな愛情(母性)と勇気(父性)を兼ね備えている。誰でも自分の関われる世界で、ウルトラの戦士になれる。
本気で動けば、時空を超えて、子どもたちの未来を救う力になれる。
現実の壁があるという。
だがそれは、一種の幻影だ。未来の自分を裏切る人が、よく使う言葉。
現実の壁は幻影にすぎない。
心からの欲求は、現実を動かす力を持っている。
世間の常識に気を許してはならない。
自分の人生を他人が決めたルールに乗っ取られてはならない。
吉岡さんは、効率性で人の生死を判断する医療現場に異を唱えてきた。様々な中傷や批判を受けてきた。
だが、困難は「ごつごつした石を磨いてくれる川の奔流」のようなもの。
中傷や批判は、上昇気流に乗せてくれる向かい風だ。逆風を耐えたら、上昇エネルギーになる。
「弱気の虫」をはねのけようとしなくても飼いならせばいい。
自分の弱さから目をそむけない。弱さの自覚は、生きていく上のお守りのようなもの。弱さの自覚が弱さを克服する。コンプレックスは、強い人間になるための道しるべだ。
失敗は、様々な学びを与えてくれる。
失敗を恐れて何もしないことこそが最大の失敗になる。
吉岡さんは「現状維持は、衰退の始まり」とまで言い切る。
行動しないことは未来のあらゆる可能性を断ち切ってしまう。
失敗は成功の反対ではない。むしろ成功の一部といっていい。
人生の価値は、形や数字には表せない。
唯一例外的な数字は「一」。
一つのことに我を忘れて没頭する。
目の前の一人と真剣に向き合う。
がから、医師・吉岡秀人は、何人の命を救ったかではなく、
「一人の命」を救うために力投球する。
「愚直さ」は、プロの仕事人になくてはならない資質だ。
愚直なまでのひたむきさは、日本人の美意識でもある。
吉岡さんが途上国で医療をやり続けているのは、「他人の命が、長い時間軸の中で、自分や子孫と繋がっているから」だという。
そして、「たった一つの自分自身の人生を救えなければ生きている意味などない」と自分に言い聞かせるように言う。