翔子ちゃんに「スリムになったね!」と言ったら、小躍りして喜んだ。
ひところ毎日のように、体重計の写真を送ってくれていて、
ダイエットにいそしんでいたようだが、その成果が現れてきたようだ。
そして、猫背も直り、背筋がピンと伸びていた。
六本木ヒルズ森タワー52階にある「森アーツセンターギャラリー」で、
「つきのひかり」と題した書家・金澤翔子展が開かれている。
月はいつも、ただそこにある。
太陽に照らされて、静かに輝いている。
その光はときに、誰かをやさしく照らす。
翔子ちゃんは、「大きくなったら、お月さまになりたい」と
言っていた。36歳の今も、飽きることなく月を見上げ、
お月さまとお話しをしている。
翔子ちゃん自身が、お月さまのように、
全身全霊の愛で、多くの人の心を照らしてきた。
筆をもって30年。初の個展から15年。
これまでの道のりをふりかえり、
これからの飛躍に向けて踏み出す展示がここにある。
かなり広いスペースに、ゆとりをもった展示だから、
ゆとりある気持ちで見られる。
しかも1時間刻みの事前予約制なので、混雑とは無縁だ。
懐かしい作品もあれば、新しい作品もある。
翔子ちゃんが、お母さんに宛てた手紙も展示してあった。
ボールペンの字は、たどたどしい。書とはまったく違う。
お母さんの泰子さんに聞くと、「筆で書くときは右脳、ボールペンで書くときは左脳を使っている」らしい。
翔子ちゃんには、「我欲」など一切ない。
「不安」を感じることもない。
あるのは、屈託のない「愛」だけだ。
ダウン症は、数字や計算が得意ではない。
ということは、「数値化」とは無縁。数字で一喜一憂などしない。
怯えることもなければ、否定や批判することもない。
だから、彼女のいる空間は、居心地がいい。
きょうが最終日と勘違いして、間隙縫って行ったが、
明日まで開かれている。
六本木ヒルズ森タワー52階にある「森アーツセンターギャラリー」で、
明日20時まで。翔子ちゃんにも会える。
インターネット予約してQRコードを発行してもらう。
チケットレス化が加速している。