逸青会 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

狂言の茂山逸平さんと、日本舞踊の尾上菊之丞さん。

ともに伝統芸能ではあるが、分野は異なる。

その2人がタグを組んで始めた「逸青会」。

「逸平」と菊之丞襲名前の「青楓」の名を合わせての会だが、

菊之丞になってからも、会の名を変えずにやっている。

逸平さんから何度もお誘いを受けていたが、

ようやく伺うことが出来た。

 

逸平さんは、以前『縁たびゅう』で3つの縁の一つに菊之丞さんをあげた。そのとき菊之丞さんを「新しいものを作り出す表現者の相方」と呼んでいた。

自分たちが作り出したものを他の人がやりたくなる作品に育てたいという想いもある。自分たちの新作を、後々まで残る古典にしたいという想いもある。

狂言は「エンタテインメントとしては地味」、舞踊は「華やかだが腹を抱えて笑うほど面白いものではない」という。狂言と舞踊が融合すれば、さぞ賑やかで楽しくて面白いものになるだろうと始めた。

 

この日の演目は、舞踊が「供奴」。菊之丞さんの、しなやかな手の動きに釘付けになる。

狂言は「佐渡狐」。逸平さんが父の七五三さんと共演。食えない役人と

食えない百姓のやりとりに大笑い。

そして、新作は「おかん」。機嫌を損ねたおかんの姿に右往左往する父と息子。ふだん気づかない「当たり前」について考えさせられる風刺劇とも言える。狂言的要素に舞踊的要素、さらに文楽的要素、唄や三味線、囃子方10人も結集し、「伝統芸能」の温故知新を感じる舞台だった。

 

この公演は、25日、京都の金剛能楽堂でも開かれるが、「おかん」以外は、演目が変わる。

 

(この日、「もとじ」で新調した帯締めて)