あのときかもしれない | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

毎週日曜夜のクラブハウス「大人の朗読ルーム」。

先日、20回目を迎えた。

「絵本ルーム」でスタートしたが、詩集やエッセイも朗読したくなり、

前回から「朗読ルーム」とタイトルを変えた。もちろん絵本が中心であることには変わりない。

 

ルームパートナーのナミさんとは、好きな本や作家が似通る。

詩人の長田弘さんもそのうちの一人。

ボクは、「最初の質問」「言葉のダシのとり方」は、何度も読んできた。

そして、「あのときかもしれない」。

いつ大人になったのか、「あのときかもしれない」と自問自答する9編からなる詩だ。詩集『深呼吸の必要』に収められている。ボクが持っているのは、1990年の18刷だが、ナミさんは、1984年の初版らしい。  

ボクより、長田弘ファン歴が長いということになる。

 

2人で、最初の2編を読んだあと、オーディエンスに質問してみた。

「いつ、大人になりましたか?」

●18歳で家を出た時。

●自分で何でも決められるようになった時。

●10%大人のフリをしているだけで90%は子ども。

●永遠の小1。

●出産した時。

●リリーフランキー「大人は子どもが描いた幻想」

 

ボクも考えてみた。「あのとき」がいまだないかもしれない。

自分でいうのもなんだが、無邪気な子どものまま。

永遠の5歳児。チコちゃんと一緒(笑)。

 

長田さんは、『深呼吸の必要』のあとがきに、こんなふうなことを書いている。

「言葉を深呼吸する。言葉で深呼吸する。そうした深呼吸の必要を覚えたときに、立ち止まって、黙って、必要なだけの言葉を書き留めた」

深呼吸しながら言葉を使っているだろうか。

思わず、深呼吸しながら噛み締めたくなる言葉を聞いているだろうか。

そんな言葉の使い手になれたら「大人」になれるのかもしれない。