論語知らずの論語塾69~渋沢栄一の嘆き節 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

NHK大河ドラマ『青天を衝く』では、明治新政府のドタバタぶりが描かれている。政権を奪取したものの、にわかごしらえの新政府だけでは、新しい国作りが進まない。そこで旧幕臣たちの手を借りざるを得ない。

渋沢栄一は、廃藩置県や郵便制度などに、大いに力を発揮する。

だが、旧態依然とした人間関係に嫌気もさしていた。

 

論語塾では、毎回「渋沢栄一と論語」という時間を作り、『論語と算盤』に中から、渋沢の考え方を紹介している。きょうは、大蔵省の役人となった渋沢の嘆きにも似た述懐を取り上げた。

渋沢の嘆きは、教育水準の低さ、教育に対する認識の甘さにあった。

渋沢には、「常に精神の向上を富と共に進めることが必要である」という信念があった。国は富んでも、人格が退歩していると指摘している。

富は分かち合い、循環していくようにしなければならない。私利私欲に走らず、仁義道徳を積む精神教育が必要だと「声をからして」叫んでいたのだ。

渋沢は、多くの書物を読んだ中で「論語」には欠点が少ないと思っていた。論語を使いこなして、思慮分別を持たねばならないと自戒していた。

 

孔子もいう。

「君子は上達し、小人は下達する」と。

常に「最高レベルで考え、本質を見極めよう」と。

 

(毎度お世話になっている

 高橋源一郎さんの『一億三千万人の論語』を手にして)