時代劇で伝える「文法」 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

幼い頃から時代劇が好きだった。

「水戸黄門」「大岡越前」は、欠かさず見ていた。

黄門様の印籠の力、お白洲での名裁き、勧善懲悪は胸がすく。

「大河ドラマ」も、ほぼ欠かさず見てきた。

時代劇は、日本人が大切にしてきたしきたり、立ち居振る舞い、

主従関係、師弟関係、憐憫の情…、日本文化を教えてくれる。

いつか時代劇の役者になりたいという野望も捨ててはいない。

 

時代小説もよく読んでいる。

藤沢周平、池波正太郎、佐伯泰英、高田郁…。

中でも藤沢周平は好きだ。

 

藤沢作品の「三屋清左衛門残日録」に主演している北大路欣也さんは、時代劇への思い入れは一際強い。

「我々が生きていくために先人に教わった『文法』」を大事にしたいと思いながら、役を演じている。世界に誇れる独特の生き方や知恵といった『文法』への熱い想いを時代劇を通して体現したいと考えている。

 

もう一人、時代劇に肩入れしているのが榎木孝明さん。

4年前に、一般社団法人「時代文化みらい機構」を設立し、代表理事に就任した。事業内容は多岐にわたる。

本物志向の時代劇制作へ向けての活動。日本人としての精神性向上の為の教育。地方創生及び地域活性化の為の時代村建設。伝統工芸、伝統芸能の活性化と次世代への継承問題の取り組み。
多岐にわたる本物の日本文化を映像化、作品化する活動を通じた日本人のアイデンティティーの形成、そしてその事業を通じての世界平和への貢献を目指している。

活動のひとつ「一期一会サムライプロジェクト」の趣旨説明で榎木さんは、こう説明している。

「時代の移り変わりとともに人々の思考やライフスタイルが変わるのは当然ですが、そんな中で変わってはならない大切な人としての生き方があります。ひと昔前には学校教育や社会生活を通じ、先生や大人達が当然のように子供達や後輩に人としての生き方の基本を、言葉でもしくは自らの生き方を示して伝えて来たものです。

ところが今ではそんな文化も精神も継承が危ぶまれる事態になってしまいました。そんな時代だからこそ映像文化が人に与える影響を大事にしたいと思っています。特に時代劇には感動を通じて先人の生き方から学べる機会が多くあります。そんな時代劇を通じて表現できる武士道精神には、今の混沌とした地球文明が生き残るための人としての大切な精神が散りばめられていると思います」

 

時代劇には、日本人として忘れてはならないものが、いっぱいなのだ。