日曜夜8時の定番。NHK大河ドラマ。
いま放送中の『青天を衝け』は、ちょうど60作目。
そのほとんどを見てきた。
幕末を描いた大河は15作あるが、戦国ものに比べると地味な印象が拭えず、さほどヒットした作品はなかった。
だが、このたびの『青天を衝け』は面白い。
激動の時代に、若き日の渋沢栄一が台頭していく姿がエネルギッシュに描かれている。青春群像劇だ。渋沢の若き日が長く描かれているのも功を奏している。
渋沢が、正解がまったくわからない時代に、失敗しながら突き抜けてダイナミックに成長していく様子が、見ていて小気味いい。
ドラマが始まって以降、北大路欣也さん扮する徳川家康が、気になる存在。ドラマの随所に現れ、毎回登場する際のあいさつ「こんばんは、徳川家康です」は、すっかりおなじみ。栄一が生きた激動の時代を俯瞰的に見る「案内役」の役割を担っている。
その家康とともに登場し、華麗なパフォーマンスをする黒子も注目を集めている。黒子は、パントマイムの動きをベースに舞台作品を演出する小野寺修二さん主宰の「カンパニーデラシネラ」のメンバー。ふだんは国内外の劇場で公演を行ったり、小中学校に赴いて作品を上演したりしている。
黒子はいわば、家康の心、もしくは分身のようなものかもしれない。
彼らは布やふすまなど身の回りのものを使って、家康の語りを視覚化する。ドラマは明治時代に入ったが、家康や黒子は今後も登場するそうだ。