会うたびに元気になっていく95歳がいるだろうか。
いるのだ。神奈川県川崎市に。
江戸しぐさの越川禮子さんだ。
生き方の師匠として、時折御機嫌伺いに行く。
3年前に腰、去年には大腿骨の骨折というアクシデントがあったが、
リハビリを重ね、日常生活を取り戻しつつある。
この日も、会うなり「どこにも行けなくて、箱入り娘よ!」とのたまう。
コロナ禍で自宅に缶詰め状態のことを自嘲する。
そして、カンラカラカラと、いつもの高笑い。
長男の康夫さんは、広島から上京して1年あまり、
母の世話をしている。
食事は、康夫さんが作る。「これが美味しいのよ」と母から高評価。
なんと、朝からハンバーグをペロリと平らげるそうだ。食欲旺盛。
そして、まるで「親子漫才」のような会話。昔話をしては、ちぐはぐな噛み合わない会話を楽しんでいるようだ。これも佳き脳の体操。
康夫さんによると、禮子さんのレビー小体型認知症も、ほぼよくなったそうだ。
最近、自分の書いた本を読み返すという。
「なんだか、難しいこと書いてあるのよねー」とカンラカラカラ。
禮子さんにお会いすると、清々しい気持ちになれる。