クラブハウス「ことば湯」のパートナー、藤川由樹さんの都合が急に悪くなり、ことば湯のご意見番、龍雲寺の細川晋輔住職に助っ人をお願いした。
細川さんは、1979(昭和54)年生まれ。次男坊だが、僧職を継いだ。
佛教大学卒業後、京都にある臨済宗妙心寺の専門道場にて9年間の修行生活を送った。祖父はベストセラー『般若心経入門』名僧・松原泰道さんだ。
細川さんは、「ことば湯」の第一回から、ルームに入り、その後、ご常連として、珠玉のコメントをする重要な存在だ。
今夜は、禅語(禅のことば)を取り上げて、語り合った。
「一期一会」
舟橋聖一の小説『花の生涯』に、「昔より、一期一会の心を旨とする直弼なおすけじゃ。今日という日は再びなく、今日の私は、明日の私では、無いのだぞ」とある。井伊直弼が使い始めたとされる。
なにごとも、一生に一度の出会いと考えて相手に接するべしという教え。まさにこのクラブハウスがそれ。
「啐啄同時」
鶏の雛が卵から産まれ出ようとするとき、殻の中から卵の殻をつついて音をたてる。これを「啐」と言う。そのとき、すかさず親鳥が外から殻をついばんで破る、これを「啄」と言う。
この「啐」と「啄」が同時であってはじめて、殻が破れて雛が産まれるわけで、これが「啐啄同時」。
これは鶏に限らず、師匠と弟子や、親と子の関係にも通じることばだ。
「喝」
未練を絶つ、すべてを超越することば。間髪を入れず、余念を交えず、
3回繰り返す。
最後に、細川さんの「喝!」で締めくくった。
迷いを吹き飛ばすような言語を超えた声だった。