ジョン・キムさんの声はずるい。
深みのある奥行きのある低音ボイスで、相手のハートを包み込む。
だが決して相手に媚びない。曖昧な言い方はしない。
いまだけ、ここだけ、あなただけという想いで、
一人一人に向き合う。
まるでことばでハグされているような気持ちになる。
ボク自身が、12日(金)のクラブハウスで、初めて声を聴いたとき、
そんな気持ちになった。
わずか4日後、「ことば湯」に来てもらえることになった。
ジョン・キムさんの経験に基づく生き方論が、
多くの人を捉えて離さない。
慶應大学で教鞭をとっていた時、
その魅力に心奪われた女子大生が授業中卒倒したという都市伝説が残っている。
彼の名著『媚びない人生』は、慶應の教え子たちに、自分を信じ自分が主役の人生を生きてほしいという想いを込めて書かれた。
幼くして両親を亡くし、10歳から一人暮らしをしていた彼は、
未来におびえない、人に振り回されない、人に媚びない人生を送ってきた。親を早くに亡くした経験は、独自の死生観を持つに至る。毎朝無事に目覚めることに感謝する。向き合う人には、一期一会の想いで接する。
ボクと藤川さんが1時間聞いたあと、オーディエンスから6人が質問。
質問した人たちに真摯に応じる。
ジョン・キムさんが一番好きな日本語は「思いやり」だという。
彼は、日本に来て嫌な想いをしたことがない。
これまで受けた恩を忘れたことはない。だから恩送りのつもりで、出会う人に接している。人を思いやることは、自分を思いやることに繋がる。
つくづく愛に満ちた人だと感じ入った。