大丈夫と言って大丈夫? | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

信州ことば磨き塾。

「大丈夫」ということばについて、みんなで考えた。

 

今回参加した鳥海亜希子さんから、「大丈夫」という言葉について、

指摘を受けたからだ。

「大丈夫」ということばは、人を勇気づける魔法のことばだと思い込んでいた。だが、使い方一つで、受け取り方が変わるというのだ。

鳥海さんが、生活支援員として支援の現場に入った際、施設利用者に「大丈夫」と声かけすると必ず吐き発作を起こす方がいたそうだ。

大丈夫と声をかければかけるほど彼は吐き続け、ガクガク震えだすという。

「大丈夫」ということばは、救いや励ましにもなる一方、穏便に済ませようとして口先だけで言われているように感じ、かえって負担になる人もいる。

「大丈夫」という言葉を、相手の立場を汲み取り、想像した上で、語気の強弱や明るさを考えて使う。むしろ、自分におまじないのように言うといい。

大丈夫の代わりなる言葉も探した。「いいんだよ」「一緒にいるよ」。

あるいは、ことばを発さず、黙って同じ時を過ごす、空気感を伝える。

ただそばにいる。無言の「愛づち」を打ちながら。言葉にしない言葉もダイジだ。

「大丈夫」 は、ことばとして発する場面によって、全く変わる。 「大丈夫ですか?」と相手の具合を心配して聞いても、「大丈夫です」としか言えない雰囲気になるので、「この部分は痛みありますか?」とか「いま心配なことはありますか?」とか、具体的な答えがくるように声を掛けるようにしているという人もいた。

 

「あなたにとって私たちとは誰ですか」という長田弘さんの深い問いかけを考えてみた。

●家族、社員、日本人が自分のアイディンティティ。

 苦痛でない縛りなので、そこから抜け出すと自分が自分でなくなる。●目的のために志を一にする仲間。NPO、飲み仲間。

●自分以外の「他人」、考えを異にする「人」

●先祖、祖先、自然。生かされていると感じるもの。

●自分を包み込む大いなるもの、サムシング・グレート

●自分も知らない未知なる自分

 

千曲市から参加してくれた鳥海亜希子さんは、

「村上さんに包まれている間は嫌なことを忘れて、自分なんかという気持ちより『自分だからこそ』という気持ちになれました。肯定的な空気感に触れ環境があったからこそ私は『生きていてもいいんだな』という思いになれました」と言ってくれた。

 

癒しのシンガー、山極優子さんから、嬉しい感想が届いた。

「村上さんが、参加者ひとりひとりの話をしっかりとすくい取り、そこに新たな命を吹き込んでいく、 そんなことをされているなぁ、と感じました。 だから『安心の空間』であり、ひとりひとりの持っているものの一端を、臆することなく『ことば』として表に出すことができるのだな、と。 それが、この会の趣旨『ことばの磨き合い』そのものなんだな、と腑に落ちました」

 

中川隆志さんからも、納得の感想が届いた。

「ことば磨き塾でぼくが何をしに行っているかが、はっきりと分かりました。自分の心を耕しに行っているのです。

イメージはこんな感じです。冬の間に固まってしまったウチの裏の畑、そろそろ耕運機をかけてほぐします。そして、春の陽射しが土の中まで入っていく…。土が喜んで、種まきを受け入れられるようになる。

心の表面が柔らかいとたくさんのことが、すうっと入ってきますね」。

中川さん、皆さん、一緒に、心を耕し、嬉しいことばの種を播き、笑顔の花を咲かせましょうね。