NHK大河ドラマ『麒麟がくる』が終わってしまった。
コロナ禍の影響を受け、収録も放送も中断。
越年して、昨夜7日で全44回の最終回を迎えた。
最終回は、「本能寺の変」。
なぜ、光秀は、謀反を起こしたのか。
戦国史上、最大のミステリーを、NHK大河はどう描くのか…、
結末を注目して見ていた。
おかしな言い方になるが、悲劇なのに爽やかな結末だった気がする。
信長役の染谷将太さんは、「信長は、怪物になってしまった。もう誰も止められない、誰の話も聞かない、既に世界は自分の物だと思っている。そこに光秀の手が下される。光秀に討たれることでその全能感から解放され、肩の荷がおりて楽になる。死に顔はいちばん力の抜けた顔にしようと思いました」
「光秀に討たれるのはもはや本望。光秀が自分を楽にしてくれる。迎えに来てくれたといううれしさと切なさが複雑に出ました。そして、最後の戦を楽しもう。最後の戦が光秀なんて最高だ!そんな気持ちでせりふを言い、肩に刺さった矢を折りました」
その気持ちが演技や表情に出ていたと思う。
本能寺の変のあと、山崎の戦いで、光秀は秀吉に敗れ、戦場の露と消えたのが定説だが、それは、ナレーションだけで、映像では描かれなかった。
そして、本能寺の変から3年後。
光秀を支えてきた駒(門脇麦)が、備後・鞆の浦に立ち寄り、十五代将軍だった足利義昭(滝藤賢一)と再会。
駒は「ご存じでございましょうか?十兵衛様が生きておいでになるという噂があるのを。私も聞いて驚いたのですが、実は密かに丹波の山奥に潜み、いつかまた立ち上がる日に備えておいでだというのです」。
そして、駒は市場で“ある侍”の姿を見つけ、。「十兵衛様~と」叫びながら、追い掛けるが、姿を見失う。
そして、ラストシーン。
その侍は馬を駆って地平線に向かっていた――。
「山崎の戦い」後も、光秀は、生き延びて僧侶「南光坊天海」として徳川の幕政に関わったという“生存説”を採用したとも受け取れるラスト。
光秀を長きにわたって演じてきた長谷川博己さんは、
番組公式ツイッターにアップされた動画に登場。
「最終回、いかがだったでしょうか。僕は最後は、明智光秀は生き延びたんだと信じたいです。こんな今の世の中ですけれども、本当に現実の世界でも麒麟がくるように願って、念を入れるつもりで、ずっと演じていました。その願いが、きっと届いたと思います。もしも、この先が気になるようでしたら、是非、皆さまからのコメントを頂きまして、何か番外編で、またお会いできたら、うれしいなと思います。この後、どうやって光秀は江戸幕府を作ったのか。それができたら、僕も幸せです」と話した。
『麒麟』とは、王が仁のある政治を行うとき、その頭上に現れる中国の伝説の霊獣といわれる。
いまこそ、麒麟が来るのを、みなが待ち望んでいる。
私利私欲でなく、天命に従って行動した光秀が、その後も天命に従って、平らかな世を作るために奔走した。そんな希望と期待を抱かせるラストに好感を持てた。