朝ドラ『エール』が、今週から再開された。
タイトル通り、いまの不透明な時代にエールを送るドラマだ。
ドラマの中でも、登場人物たちがエールを送り合う。
人生は、一人では生きていけない。
いろんな人の支え合いで成り立っている。
ドラマを見ていると、そういうことに改めて気づかせてもらえる。
何気ないことの愛おしさも感じられる。
今週は、音の妹で小説家の梅と、作曲家志望で裕一に弟子入りした五郎を中心に展開する。
梅の書いた小説が好きだと、書く才能と人を慈しむ心があると認めてくれた五郎。梅は恥じらいながらも「好き」と伝える。
この場面が五郎を演じる岡部大さんにとって撮影初日だったとか。
お笑いトリオ『ハナコ』のメンバー岡部さんは、朴訥な昭和な男をうまく
演じている。
きょうの放送で、自分にとって太陽となる存在がクローズアップされた。 「私たちの急務はただただ眼前の太陽を追いかけることではなく、自分らの内に高く太陽を掲げることだ」
梅は島崎藤村の言葉を五郎の前で紹介する。
島崎が小説『春を待ちつゝ』に残したこの言葉の前には、「誰でもが太陽であり得る。」と綴られている。
才能がないと思い詰め、「駄目な人間です」と自己卑下する五郎にとって、梅は太陽だ。藤村のことばは、心に響いたはずだ。ドラマを見ている人にも、エールをもらえることばだ。
子どもの頃に親に売られ奉公に出されていた五郎にとって、古山家は、心から安らげる場所だった。再び路頭に迷う五郎の居場所は見つかるのか…。明日の放送が待たれる。