5月の連休明けから、少しずつ飲食店が営業を始めた。
訪れる客も、開く店側もどこか遠慮がちだ。
最大限、感染拡大対策をしながら試運転といったところだ。
ボクも遠慮がちに、恵比寿にオープンしたばかりの店に行ってきた。
泉岳寺門前「紋屋」の板長をしていた斎藤拓也さんが独立して店を構えたので、表敬訪問してきた。
店の名は、「CRAFT」。店名も設えも日本料理店らしくない。
斎藤さんは、日本料理らしくない店構えで、最高の日本料理を提供したかったという。彼が吟味して集めた唐津焼の器に、彼が丹精込めた食事が盛られる。紋屋の頃も絶品の数々だったが、より創意工夫をこらした品々が出てくる。自由自在に献立を考えられることが楽しくてしかたないようだ。
18歳でこの道に入り、35歳で店を持つのが夢だった。
予定通り、夢は叶えたのだが、なんと店開きが4月7日だった。
緊急事態宣言が出た日と重なった。
「これも巡り合せ。縁です。忘れられない日になりました」と笑っていた。4月7日以来、店を閉めずに頑張っている。もちろん出来る限りの感染拡大に配慮しながら。
自信を持ちながら、それをひけらかすわけでもなく、楽しみながら料理道にまい進する斎藤さんを応援したいと心から思った。
今度は、遠慮がちでなく、気心の知れた友人を伴いながら。
(店主の斎藤拓也さんと)
(炭火で葱の甘味が引き出される)
(葱間椀 マグロのほほ肉とネギ 黒七味)
(茅ヶ崎牛のカツ 薄衣をまとっただけの絶妙な味)