勝海舟記念館に足を運んだことをきっかけに、
勝海舟のことを、もう少し知りたいと「勝海舟修養訓」を読んだ。
著者の石川真理子さんは、武士道を通して、人の在り方を模索してきたが、海舟は、その行動規範を教えてくれた師の一人だ。
そのことばは、実に痛快この上なく、示唆に富み、情感あふれた味わい深いものだ。
若い頃の極貧生活、20回にも及ぶ襲撃事件、慶喜との恩讐を超えた付き合い、江戸庶民とのざっくばらんな交流、その波乱万丈の人生から滲み出たことばに鼓舞される。
そのいつくかを紹介。
●己を作り上げるのは己だ。自省自修。
●ただ目の前のことに無心に取り組む。結果を先に求めない。
●なんといっても大精神が必要。
大精神とは、日本人の精神性に国際的な視野を併せ持つこと。
●きょうの是は、明日の非。明日の非は、明後日の是。
●艱難辛苦に遭遇すると一生懸命になるが、これが一番の毒。
いちいち頭にこたえるようでは大事業はなせない。
じっと騒がず寝転んでいる。
●反対するものには、どんどん反対させたらいい。
自分の行うことが是なら、彼らもいつかは悟るだろう。
固執しない。排除しない。人を責めない。
正義に固執すると無私ではいられなくなる。
●広い天下に俺に賛成するものは誰もいなかったが、
世の中には道があるものと楽しんでいた。
●天下は大活物。単なる知識でしかない学問は役立たない。
●いつになったらという思いを捨てて、ただただ続ける。
22歳のとき、蘭学書ズーフハルマ58巻2部書写。
●なにごともすべて忘れてこそ縦横自在の判断が出来る。
慶喜という上司の前言撤回に2度振り回されたことがあるが…。
●わが守るところが大道なら、ほかの小道は放っておけ。
言わせておいて争わない。
小道がすぐ消えるが、大道は後世まで残る。
●今のことは今知れて、今の人に褒められなくては承知しないという
尻の穴の小さいやつばかりだ。
評価を今現在に求めるなかれ。