1時間半の変化 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

U25ことば磨き塾(27日)。

修了日にも関わらず、開始時間に来たのは2人だけ。

バイトや体調不良で欠席続出。

2人で何をしようか思案していたら、

いささか遅れて登場した堀畑敏輝くんが、友人を誘ってきてくれた。

小野尾健太くん。大学の同級生だそうだ。

堀畑くんからは、急用が出来て「欠席連絡」が届いていたのだが、

急用が早く終わり、その場にいた小野尾くんに声をかけたのだ。

 
小野尾くん、
はじめのうちは「場違いなところに来てしまった」という表情をしていた。何を問いかけても、聞き取れないくらいの小声で話し、
うつむきかげんで視線も合わせてくれなかった。
「嬉しいことば辞典作り」でも、
「うーん」「こういうのやったことないし」発言ゼロ。
「父・母のことば」をテーマにしたプレゼンでも
「うーん」と困った顔をしていた。
だが、塾長は、「やってみようよ」と水を向けた。
 
ポツリポツリと話し始めた。
しだいに声のトーンも大きくなり、淀みも消えていった。
「小学校の頃、何をやっても出来なかった。他の人と違うと思い詰めていた。自分を否定していた。発達障害ではないかと言われたことがある」「そんなボクに母が昔に比べ成長したねって言ってくれて嬉しかった」
彼の話は、技術や話術にとらわれず、心のままだ。
だから、みんなの心に響き、
投票の結果「嬉しいことば大賞」に選ばれた。
「いままで賞もらったことない」小野尾くんは、はにかみながらも嬉しそうだった。戸惑いながらも握手してくれた。
ここに来た時とは、見違えるような表情をしていた。
彼自身、ほんの数時間前までは、ここに来ると思っていなかっただろうし、ボクも予想だにしない展開だった。
わずか1時間半で、彼の中に何らかの化学反応が起きたのだ。
 
幹事役の小室ひなさんは、

「ことば磨き塾は喜怒哀楽を恥ずかしがらずに見せて許容してもらえる場所だ」と言ってくれた。

この場の力が、小野尾くんの重い扉を開かせたのかもしれない。
 

(嬉しいことば大賞の小野尾くん)

(皆勤賞の堀畑敏輝くん)

(名幹事の小室ひなさん)

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●kotobamigaki.gakusei@gmail.com(小室)