おトキさんは、舌好調。
舌に油が塗ってあるのかと思うほど。
気持ちよさそうに、話し続けた。
先日の正蔵師匠のときのように、
「出る幕のない楽しさ」を味わえた。
おトキさんには、これまでも何回もお会いしている。
このたびは、月刊清流の対談をお願いした。
場所は、昭和39年、オリンピックの年に建てられたマンションにある
トキコプランニングのオフィス。
対談だから、ボクも話さねばならないのだが、
おトキさん、ノンストップ。
ついこの前、トキコキって言っていたのに、今年75歳。
ますます元気。
常に「自分の人生、自分で決めて切り開いてきた」からだろう。
若い頃は、迷ったり流されたりしていたこともあったが、
50代に入ったあたりから潮目が変わった。
というより、自分で潮目を変えた。
コンサートにしても、衣装選び、曲選び、進行や演出・・・
なんでも自分で決める。
間一髪の選択をしている。
ま、いいやで流されず、いや違うと立ち止まる。
瞬間瞬間を、自分の思い通りに果たせるが大事という。
自分で決めていく生き方の手本は母の淑子さんだ。
母は、去年1月、101歳の天寿を全うした。
終戦後の満州から引き揚げるとき、家族を必死で守り、
破天荒な夫の内助の功を果たし、
加藤家の船長として、船が沈没しないように
必死で操縦してきた。
新刊『運命の歌のジグソーパズル』は、
おトキさんが出会ってきた歌のエピソードが綴られているが、
出会った歌のピースが繋がると、人生地図が出来上がる。
そして歌の中には、折に触れて、母親の姿が登場する。
対談は、清流6月号に掲載予定。