自由自在な小澤征爾さん | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。


先日(12日)の「あさイチ」に釘付けになった。


日本が世界に誇る指揮者の小澤征爾さん(82歳)がゲスト。


容貌を見て、老け込まれたなぁと一瞬驚いたが、


話が抜群に面白い。小沢征爾によく似た近所のおじいさんが、


気さくに話している感じ。イノッチと有働アナウンサーの「相手に身を任せ遮らない聞き方」も素晴らしい。


 


テレビカメラなんて全く意識せず、自由闊達。


自分のバッグ(100均でよく売られてる袋)から


造作にクレジットカードを出して、


番号が刻印されてる表面がばっちりテレビ画面に写ると、


イノッチが慌てて裏面にひっくり返していた。


 

しみじみした話も出ていた。

戦後まもなく、親戚から譲り受けたピアノを、

兄と2人、リアカーに乗せて、横浜の白楽から立川まで運んだ。5歳上の兄・ドイツ文学者の小沢俊夫さんから、番組宛てに手紙が届いていた。

このごろのお前の指揮を見て聴いているとますます研ぎ澄まされてきてすばらしいと思う。指揮という仕事は勉強も大変だし本番も大変だろうけれど僕より5歳も若いんだからこれからも元気で世の人々にいい音楽を聴かせてもらいたい」いい手紙だ。

 

長野県の山ノ内町。

小澤さんは、趣味のスキーで、たびたびこの町を訪れていた。

山あいにある生徒数280人の小さな中学校で、


生の演奏を聴かせたいと、


30年以上前から年に1回、この中学校でコンサートを行ってきた。


その学校の子どもたちから小澤さんに届いた


合唱のプレゼントVTRを見て、


「音楽はいいなぁ」と涙ぐむシーンもあった。


次代を担う若い音楽家たちを育てたいという想いが強い小澤さんだからこそ、嬉しさ一入だったのだろう。


 


齢八十。


誰憚ることなく、感情を思いのままに出せる姿を見て、


世界のオザワが、身近になった。