YouTubeを見ただけで泣けた。
奇跡の実話だから、泣けたのだろうか・・・。
その理由を知りたくて映画『8年越しの花嫁』を観に行った。
結婚式を間近に控えたカップルを唐突な出来事が襲う。
花嫁になる女性が、難病のNMDA受容体脳炎になる。
脳内で、興奮刺激を伝えるNMDA受容体が、
卵巣奇形腫などによる免疫反応で出来た抗体からの攻撃を受け、
機能低下して発症する。
幻覚や幻聴、けいれん発作や意識障害も伴う。
本人の意思とは無関係に身体が奇妙に動く症状もあるので、
精神疾患と誤解されたこともある。
この女性も、心肺停止に陥り、奇跡的に一命はとりとめたが、
1年半ほど、昏睡状態が続く。
だが、意識回復後、驚くような回復を見せる。
そして、血のにじむようなリハビリに耐え、
少しずつ身体の自由を取り戻していく。
それは、ずっとそばに寄り添い支え続けた婚約者の男性の力によるものだといっても過言ではない。
病に倒れてから、8年後、ついに2人は結婚式をあげる。
男性の名は、中原尚志さん。女性は麻衣さん。
2人は、子まで授かった。
映画の中で、尚志の職業が、
自動車修理工という設定が絶妙である。
彼は、こわれたもの、破損したもの、
失われたものに対する並々ならぬ想いを抱いている。
そしてそれを元に戻したいと常日頃から考えながら生きている。
子どもたちが遊ぶブランコが壊れているのも見過ごせない。
修理し終えたところに、麻衣が現れて「もう一度好きになる」というシーンは、涙なくして見られない。
主演の2人が素晴らしい。
セリフがセリフに聞こえない。
演技をしているように見えない。
2人の心と一つになっている。
飾らない感情表現だから、観る人も素直に受け止められる。
映画だからといって、非現実に思えない。
主題歌のback numberの歌う「瞬き」の中に、
こんな歌詞がある。
「幸せとは、大切な人に降りかかった雨に傘をさせることだ。
そして、いつの間にか僕の方が守られてしまうことだ。
いつもそばに いつも君がいてほしいんだ
目を開けても目を閉じても」
これを愚直に実行した人がいるから、泣けるのかもしれない。
現実の尚志さんはいう。
「8年待ったのではなく、8年好きな人のそばにいたということです」。
(後列左が、尚志役の佐藤健さん、麻衣役の土屋太鳳さん。
太鳳さんが抱いているのが、2人に授かった息子さん。
前列左が夫の中原尚志さん、妻の麻衣さん)