論語知らずの論語塾22~居留守を使った孔子 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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論語知らずの論語塾(7月11日)から。

512にある論語の章句は、教訓的なものばかりでない。

取るに足らないものもある。

というか、孔子の人間らしさを感じるものがある。

そんなエピソードの一つ。

孔子の家には、いろんな客人が来た。

孔子ほどの人物だから、分け隔てなく、来るもの拒まずで、

誰とも面会した・・・わけではない。

会いたくない人には居留守まで使った。

陽貨という身分は高いが暴れん坊な人が訪ねてきた。

会うと面倒になると思った孔子は、居留守を使った。

諦めた陽貨が土産を置いていったので、御礼を言わねばと、

陽貨の留守を見計らって出かけていく。

ところが、道すがら出くわしてしまい、決まりの悪い思いをする。

おまけに陽貨のご高説を延々聞かされる羽目になる。

孔子の心中を察すると、いささか可笑しくなる。

 
別の客人の話。
居留守を使った上に、その人が諦めて帰って、まだ家の近くにいることを見計らって、楽器を奏でたこともある。「私は家にいるけど、あなたには会いたくない」と伝えるために。
結構イヤミなおじさんの一面もあったようだ。
だから、論語は、自戒のためのものでもあったのかもしれない。
 
安岡塾長は、そういうことも包み隠さず、
大らかに笑いながら伝えてくれる。
だから、この塾は敷居が低い。