愛媛県は、東予、中予、南予と大きく3つの地域に分かれる。
宇和島市も、次に訪問した八幡浜市も南予に位置する。
八幡浜市は、愛媛県の西端にある佐田岬半島の付け根にある。
丘陵地が多く、海にはリアス式海岸が続き、
温暖で風光明媚なところ。
古くは、海上交易が盛んで「伊予の大阪」と謳われた。
いまも西日本有数の八幡浜港を抱え、四国の西の玄関口、
交流・交易活動の拠点として発展してきた。
温暖な気候と地形を生かした柑橘栽培が盛んで、
温州みかんは質・量ともに全国有数の産地。
太陽の直射光、海からの反射光、段々畑の石段の輻射熱の
「三つの太陽」を浴びて育ったみかんの美味しさはひとしおだ。
その八幡浜市で、内外情勢調査会南予支部の講演(29日)。
この日も、行政や金融機関、企業経営者を前に話した。
同じテーブルに黄色のスーツが似合う女性がいた。
大洲市にある谷本産業代表取締役の谷本邦枝さん。
聞けば、砕石の仕事。ヘルメット姿で現場に立つこともある。
29歳で、夫を亡くし、2人の子を女手一つで育てながら、
仕事をしてきたそうだ。
宝塚音楽学校に入学した経験がある。
経験があるというのは、入学してすぐ、父に連れ戻されたからだ。
有無を言わさぬ親が存在した時代だったのだ。
昔とった杵柄で、日舞の指導もしている。
艱難辛苦を乗り越えてきたことをみじんも感じさせない「おおらかさ」に感服した。
講演中、時折、涙ぐんでいる女性がいた。
自宅の机上に置かれていたチラシを見て、
どうしても参加したいと思い、
会員の夫にふだん言わないわがままを言って連れてきてもらったが、
「本当に思い切って来てよかった」と感想を述べてくれた。
その優しい夫は、元八幡浜市長。
「つまらん話かと思っていたが、居眠りせんかった」と、
彼なりの言い方で、最大級の賛辞を送ってくれた。
(丘陵地を望む八幡浜港)
(新観光スポット 八幡浜みなっと)