「最近テレビで男性アナウンサーやキャスターが、
自分のことを『ぼく』と言っています。
以前、NHK『ニュースセンター9時』の大越キャスターが、
時の総理に対して、『ぼく』と言ってネット炎上したことがありました。
政治家、上場企業経営者は『ぼく』とは言いません。
『ぼく』は、公の場で、他人に対して使うべき人称ではないと
認識しておりますが、いかがでしょうか?
使い方が変わってきているのでしょうか?」
きょう、ことばの仕事をしている知人から、こういう質問メールが来た。
それこそボクは、「ボク」と言うことが多い。
とある講演会で、主宰者から「村上さんの年齢で、自分のことボクという人が少ない。ボクは気に入ったなぁ」と変な褒められ方をしたことがある。
確かにテレビニュースを担当していた頃は「ワタシ」が多かったかもしれない。フリートーク100%のラジオをやるようになってから「ボク」が増えたかもしれない。
日本史上、最初に「僕」を使った人は、吉田松陰と言われている。
それまで、武士は、「拙者」とか「それがし」とか言っていた。
だが、君子以外の万民は平等とする松陰の思想の反映で、
松下村塾では、みな「僕」「君」と言い合っていた。
こう呼び合うことで、身分の垣根が取り払われて、活発な意見が交わされたと推測される。
確かに、
「ワタシ」だと相手との距離感がある。
「ボク」だと、距離が縮まる感じがする。
常識的に、かなり改まった場合、
明らかに、敬意を払うべき目上の人との初顔合わせなどは、
どちらを使うかは、おのずと明らかだろう。
「ボク」は、TPOを意識しながら、
自然体の「ボク」でありたいと思っている。