ことし6月、文化放送に一通の手紙が届いた。
小牧市保健センターの落合加奈さんからだった。
日本作業療法士協会の広報誌『opera』の対談記事を読んで、
ぜひ講演をしてほしいという依頼だった。
中村春基会長と、「ありがとうは自分育ての魔法のことば」だと意気投合した対談だった。
小牧市では、うつ病対策や、自殺防止対策として、自己肯定感の醸成に務めている。
市民向けのメッセージも同封されていた。
そこには
「ありがとうは、あなたがここにいることが、わたしはうれしいというメッセージ。
誰かに必要とされていることがわかると、自分はかけがえない存在だと思える。
ありがとうは、心へのギフト」と書かれていた。
これは、種まきに行かずばなるまいと引き受けた。
半年後のきょう、講演会が実現した。
雨にも関わらず、会場は150人満席。
始まる前から、温かい気が流れていた。
嬉しいことばの中でも、特に「ありがとう」に力を入れて話した。
土地を潤す雨にも、洗濯物を乾かす風にも、道路工事の人にも、
「ありがとう」を言うことは、探せばいっぱいある。
息を吸って吐いて、歩けて、水が飲めて・・・
そんな「あたりまえ」のことを「あたりまえ」と思わないために「ありがとう」。
何より自分に「ありがとう」。
「ありがとう」を百万回言う勢いで感謝神経磨こうと、いつも以上に力説した。
講演後も、多くの人に囲まれ、質問を受けたり感想を言ってくれたりした。
自己肯定出来ない子どもに、「生まれてくれてありがとう。いてくれるだけでありがとう」と、
頭では言わねばと思いつつ、なかなか言えないというおかあさん。
「だいじょうぶ。声に出して言ってみて。絶対、お子さん変わるから」と言うと、
ポロポロ涙をこぼされた。
牛のみーちゃんの物語『いのちをいただく』も朗読したが、
手話通訳の人が、手話をして交替したあと、堪えきれず、泣いていたそうだ。
何より、帰りに送ってくれた落合さんが、
「皆さんに喜んでいただいてよかったです。ほんとうに開催してよかったです。
ありがとうございました」としみじみ語ってくれたのが、嬉しかった。
(手話通訳の人にパチパチ)
(瑞穂警察署で交通安全モニターをしていたとき
お世話になった元警察官の藤掛文夫さん。
小牧市在住とか。25年ぶりの再会)