いのちの絵本10年 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

富山入りした5日、この時期の北陸にしては、珍しく快晴だった。

雪化粧した立山連邦も、くっきり望めた。

新人アナウンサー時代、へこんだとき、どれだけ雄々しい山並みに励まされたことか。

赤とんぼも乱舞し、近づいて「富山へおかえり」と言ってくれるのもいた。

駅前の「撰鮮」で食べた白エビ丼も美味だった。

白米より、白エビの方が量が多いのに吃驚満足。

夜は、恒例の「鮨人」で会食。

新鮮なバイ、ノドグロに、ゲストの安田菜津紀さんも驚嘆満足。

 

そして、6日。大島絵本館での「いのちの絵本」。

2007年に始まり、今回が10回目となる。

紛争地や被災地を駆け回るフォトジャーナリストの安田菜津紀さんは、

29歳にして、人の何倍もの得難い経験を積んできた。

落ち着いた物腰で、揺らぎのないコメントを言う。

だが、突然アニメ声も出すオチャメなところもある。

安田さんは、幼い頃、母に絵本をよく読んでもらった。

1日10冊、月に300冊。半端でない量だ。

そのおかげで、無類の絵本好き。朗読もうまい。

彼女が、幼い頃読んでもらった絵本の中に『せかいいちうつくしいぼくの村』がある。

今日の彼女の活動の萌芽になった絵本といえる。

安田さんは、この春、自分で写真絵本を出した。

タイトルは『それでも海へ』。

陸前高田の漁師が、震災後海に出ることをためらっていたが、

「じいちゃんの獲ってきた魚が食べたい」という孫の声に背中を押される実話絵本だ。

写真からは、祖父と孫の声、波の音、復活した祭囃子の音が聞こえてくるようだ。

 

被災地や紛争地に想いを馳せ、平和やいのちについても考える

濃密な時間となった。

会場も、静謐な空気の中、熱心に耳を傾けてくれていた。