永さんは死なない(12)~あなたのいのちをいただきます | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

なぜ「いただきます」を言うのか、知らない人が増えている。

それどころか、言わなくていいと考えている人がいる。

給食費払っているんだから、給食の時間に「いただきます」を言うのをやめさせてほしいと、

学校に電話してきた保護者がいる。しかも学校側も同意したというのだ。

ボクが贔屓にしている岡山の天ぷら屋「たかはし」で、

親子三人連れの客が来て、母と娘が「いただきます」を言おうとしたら、

「俺が金払うんだから言わなくていい」と制止した父がいたと聞いた。

永さんは、自らのラジオ番組で。「いただきます」の意味を問い、

「いただきます」を口にする大切さを説いてきた。

「あなたの『いのち』を私の『いのち』にさせていただきます」

 

「いただく」と言えば、永さんのお父さんは、

「自分はあなたの親になったのではなく、あなたに親にさせていただいた」と言っていた。

子どもにも敬語で接していた。

含羞、はにかみ、恥じらいといった感情を美徳とする人だった。

「いただきます」と「おかげさま」をきちんと言うことを最も大切にしていた。

 

丹波の家の書棚に眠っていた本を発掘して、読み返してみると、

永さんが、いかに博学多才かが、改めてわかる。

TBSラジオ「全国こども電話相談室」の先生を40年。

世界の日本人学校の先生を30年。

先に生まれた人間の務めとして、子どもたちに伝えるべきことに、必死だったことと思う。

いのち教育、戦争体験、漢字の成り立ち・・・数学や理科、歴史、音楽、福祉・・・

永さんの教養範囲は無限だ。

内容がやさしく深く面白い。