恵まれた明るさで、羽を広げて天を翔る | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

ドイツから、メールが届いたのは1週間前。

「椿姫」のナビゲーターをお願いしたいと。

天羽さんにしては珍しく、切羽詰まった感じだった。

たまたま、その日は空いていた。というか大阪からかけ戻れば間に合う時間だった。

まさに「助っ人」のつもりで、引き受けた。

大人の事情が介在し、ピアニストを探すのも大変だったと、あとで聞いた。

困った時は、お互いさま。

というわけで、昨夜は、栃木県の野木町まで出かけた。

JR宇都宮線で、東京から片道1時間半。なかなかの長旅である。

だが、天羽さんは、前夜ドイツから帰国したばかりというのに、疲れも見せず、

都内からマイカーで会場入りしていた。

 

それにしても名は体を表すとは、彼女のことだ。

天羽明惠さん。恵まれた明るさで、羽を広げて天を翔る人なのだ。

初対面の人であろうが、道行く見知らぬ人であろうが、

「こんにちわ!」と満面の笑顔で話しかけることが出来る。

屈託なく、表裏なく、天真爛漫を地で行く人だ。

長年ドイツを拠点にヨーロッパ各地で活躍し、高い評価を得ているソプラノ歌手だが、

かしこまったところなど微塵もない庶民派だ。

天羽さんと知己を得てから20年あまりになる。

最初は、『おはよう日本』のゲストとしてお呼びしたとき。

オペラ公演を見たばかりだったので「見事な舞台でしたね」と言うと、

「見事でしたか?」と、心底そう思っての感想なのか確かめるような切り返しがきた。

「歌うのが楽しくてしかたないようですね」と問えば、

「あら?村上さんはお仕事楽しくないですか?」と切り返し。

鮮烈な初対面の印象であった。

彼女には、美辞麗句や追従は通じない。

本気か本物か、すぐ見抜かれてしまう。

 

彼女から依頼されて始まった、オペラペラペラコンサートは、7回に及ぶ。

先日は、天草学園でのイベントにもご一緒した。

長年、公私ともに培った「信頼感」が互いの中にある。

昨夜も、その場で軽くリハーサルして、行き当たりバッチリの内容。

だから、いざというときも頼みやすい。

ボクも、来月9日、「いのちの絵本」で助っ人出演をお願いしている。

これまでも、お互いの頼みごと頼まれごとは、いつも2つ返事。

こういう関係は、頼もしい。