高田郁さんはズルイ | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

高田郁さん。

あなたはズルイ。こんなに夢中にさせて。

ほかのことが手につかないではありませんか。

展開が早すぎて、予想を裏切りすぎです。

登場人物たちに、親近感を覚えて、甲乙つけがたいです。

苦手な飛行機に乗っていて、

それを忘れてしまうのは有難いです。

電車に乗っていても

周囲の雑音が聞こえてこなくなるのも有難いです。

でも、読み終えたら、すぐ次が読みたくなるではありませんか?

だのに、あなたは、半年に1回しか新作を出さないとは、

気を持たせすぎです。

 

『あきない世傳(せいでん) 金と銀』

世傳とは、代々に渡って伝えていくという意味だ。
主人公・幸が知恵を絞り、商いの道を歩む様が、
後々まで伝わるようにという意味も込められている。
待ち侘びた第2巻「早瀬篇」が出た。
今回は14章に分かれ、またもや展開が早い。
主人公・幸(さち)は、17歳に成長し、美しさに磨きがかかる。
商才にも磨きがかかる。
 
大坂・天満の五鈴屋(いすずや)に
女衆(おなごし)として働いていた幸は、
まさかの展開で、放蕩息子の四代目徳兵衛の後添いとなり、
ご寮さんと呼ばれる身となる。
次男で商才のある惣次が、短気なだけかと思っていたら、
意外な顔を見せ始める。
惣次の驚くべき発言で、第二巻は締めくくられる。
第三巻の展開がどうなるのか、ワクワクする。
戯作好きな三男の智蔵、
病に倒れた五鈴屋の元番頭の治兵衛、
奉公に出た治兵衛の息子の賢吉、
お家さんの富久、
登場人物にどんな未来が待っているのか、
高田さんしか知らない。
だから、高田さんはズルイ。