南阿蘇が・・・ | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

ちょうど10年前の5月、南阿蘇えほんのくにが誕生した。

その誕生祭に招いていただき、地元の人たちの温かいもてなしを受けた。

その南阿蘇が大変なことになっている。


「南阿蘇えほんのくに」は、絵本でまちづくりをというプロジェクト。

自然豊かな南阿蘇地域の

南阿蘇村、高森町、山都町、西原村一帯を「南阿蘇えほんのくに」と呼び、

文化振興、環境保全に取り組んできた。

その中核的存在ともいえるのが、

葉祥明阿蘇高原絵本美術館だ。

館長の葉山祥鼎さんは、絵本作家・葉祥明さんの弟だ。

ボクの明治学院大学の先輩でもある。

20年くらい前から親しくさせていただき、

えほんのくに誕生祭に呼ばれたも祥鼎さんの肝入りだ。

祥鼎さんは、12年前、阿蘇に美術館が出来た時に、

生まれ故郷の熊本にUターンした。

そして、自らの手で、草を刈り、道を作り、美術館前の広大な庭を整備した。

葉祥明さんの絵の世界そのものだ。

庭作りをしながら、草木や昆虫や動物たちとの会話で、

人生観が変わったという。


その自然が壊れた。


祥鼎さんは、震度7の地震の日、たまたま熊本市内の自宅にいた。

いつもは、美術館のアトリエで過ごすことが多いのに・・・。

熊本城近くの自宅の瓦は落ち、家の中も散乱。

自宅には余震も怖いから住めないので、

しばらく自家用車の中で過ごしていた。

いまは、ビジネスホテルで寝泊まりしている。


祥鼎さんは、きょう、地震後、初めて南阿蘇の美術館まで行ってみた。

阿蘇大橋が崩壊しているので、う回路を通って行った。

いつも片道1時間の道のりが3時間かかった。

美術館の中は、「目もあてられない状況」だという。

展示してあった葉さんの絵も壁から落ちていた。

ここにいたら、ものの下敷きになって死んでいたかもしれないと思った。

半年や1年は、再開は難しいだろう。


何か出来ることはないかと尋ねてみた。

「いまは、メールや電話が嬉しい」

「いつまた地震が来るかわからない中で、気にかけてもらえることが嬉しい」

と祥鼎さん。


南阿蘇の絵本の世界のような情景を想い浮かべながら、

自分に出来ることを探している。


(きょうの「祈りの丘」 庭はいつものまま)


(美術館の外観 4月1日撮影)



(葉山祥鼎さん)