照美さんが伝えたいこと | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。



ラジオ界に、吉田照美の名は、燦然と輝いている。

ラジオマイクの前で、本音トークをして40年あまり。

「自分を身ぐるみ剥いじゃうような感じでやっている」

思ったことを率直に口にしてきたが、かつての自分のような

引っ込み思案のリスナーの居場所も忘れていない。

照美さんは、一人っ子で、対人恐怖症で、赤面症だった。

ボクとの共通項が多い。

決して二人とも口から先に生まれたわけではないのだ。

ラジオは、素の自分をさらけ出さざるをえない。

ただ、素を出すことは恥ずかしいという思いも必要だ。

かつて、照美さんと対談したとき、心を新たにした。


最近の照美さんは、舌鋒にますます磨きがかかっている。

恥ずかしいとか、格好をつけてられない。

「言わずばなるまい」という思いの中で、駆り立てているのだろう。

多くのメディア人が、発言をオブラートに包む中、

原発再稼働も、安保法も、TPPも反対とはっきり言う。

反日と言われようと、左傾化しいると言われようと、めげない。

仕事が来なくなっても仕方ないと覚悟を決めている。


歯に衣着せず話すには、理由がある。

照美さんの父は、戦時中、人間魚雷「回天」の製造に関わっていた。

時の権力者は、人間を兵器の一部にするような非人間的なことをした。

権力に、国民は抵抗出来なかった。

そんな歴史を二度と繰り返さないため、

メディアの一員として、自分の出来ることをしているという信念がある。

ラジオは、個人に働きかけることが出来る。

権力に都合のいい流れを作らないために、

あふれる情報の中から、必要な情報を感知するために、

照美さんは、懸命に必死にマイクに向かっている。

想いのない空虚なことばは宙に浮くが、

想いのある真剣なことばは、「中心」に届く。