堀木エリ子の辞書には「できる」しかない | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。



和紙作家の堀木エリ子さんから、新刊『挑戦のススメ』が送られてきた。

手にとったら、そのままスーッと読めた。スカッとした。

彼女らしいパッションのあることばがあふれている。

進路で悩む若い人に、ぜひ読んでもらいたい。

悩んでいることがあほらしくなってくる。


冒頭から「好きを仕事にするよりも仕事を好きになればよいだけ」と言い放つ。

確かに、はじめから天職などにありつけるわけがない。

結果として天職になっていけばいいのだ。ボクも体感でそう思う。


高卒で銀行の窓口業務をしていた堀木さんは、

縁あって出会った手漉き和紙を廃れさせてはならじという使命感で、

見ず知らずの和紙の世界に飛び込んだ。

利己的な野心など、微塵もない。利他に繋がる夢には、支援者が現れる。

未知の世界には、多くの抵抗、多くの難題が待ち受けていた。

だが、堀木さんはひるまない。

「前例のないことを前例に変えていく」

「できるかできないかと思ったら、できないを捨てる。

 そうすれば、どうするかしか考えなくなる。

 できるという前提で進めていけば、結局できる」



堀木さんは、39歳の時、悪性の子宮がんを患った。

44歳の時、乳がんと診断された。

決して飛ぶ鳥落とす勢いで歩んできたわけでない。

だが、遺書を書いてみて、

やることがいっぱい出てきて死んでる場合でないと思った。

回復していく自分の身体を見ていて、

細胞は生きるために活きていると実感した。

死に様は選べないが、生き様は選べる。

人生を成り行きにしてはいけない。

そのためには、利己から利他に視点を変えることだ。

堀木エリ子は、利他人生を選択したからブレがない。