存在感のある黒子 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

日本作業療法士協会会長の中村春基さんと対談してきた。

考えていることに共通することが多く、意気統合し話も弾んだ。


「作業」とは、食べたり入浴したり、日常生活に関わる活動を指す。

事故や病気で、その「作業」がうまく出来なくなった人に、

一人一人の症状や環境、性格に合わせたサポートをする資格を持った人を

「作業療法士」という。

自分で食べる、自分で移動する、自分で排泄する・・・

あたりまえのことが再び出来るまで、根気強く、リハビリに付き合う仕事だ。


中村さんは言う。

「若い作業療法士の中には、自分の力で機能改善出来たと思うのがいる。

 そうではない。あくまで患者さんの力で機能改善出来た。もしくは出来たと思ってもらえるサポートをするのだ。きっかけを作るだけ」

この話に、共鳴した。

「アナウンサーも、話がしやすい雰囲気を作るきっかけを作る仕事。

 黒子的存在だが、いないようでいる、いるようでいない存在感のある黒子」と

いうボクの考えと、中村さんの考えがぴったり一致した。


きょうの対談は「育つ」「育てる」がテーマ。

中村さんも、作業療法士の教育に10年携わってきた。

ボクも、いま「ことば磨き塾」で、塾長をしている。

人育ての極意は、人を変えようとしないこと。

人に合わせて自分が変わり、寄り添うこと。

さらに究極は、「なにもしないこと」。

手取り足取りで教えるのでなく、自分で「気づく」ようにしていくこと。

この話でも、考えがぴったり一致した。


きょうの対談は、作業療法士の広報誌『OPERA』に掲載される。

全国のリハビリ施設や福祉施設など70000ケ所に15万部配布されている。

どこかで、お目にとまることを期待している。


(中村春基さん)



(作業療法をPRするポストカード)
(日本作業療法士協会 広報部提供)