(1月31日『日曜はがんばらない』に出演)
ドクター中松は、変な人ではなかった。
誠実な人であった。愛の人だった。
「世界的な発明家」として知られる一方で、
国政選挙や都知事選のたびに「立候補」して、
「人目に立つことが好きな人」なのかと思っていた。
都知事選に7度、参院選に5度立候補している。
実は、中松さんが選挙に出るのは、
藤村義朗海軍中佐との約束を守っているからだ。
藤村中佐は、 終戦間際、スイスで日米和平工作をしていた。
近所に住んでいたこともあり、家族ぐるみで付き合っていた。
その藤村さんから、
折に触れて日本を立て直してほしいと託されていた。
選挙は、弔い合戦のつもりで出馬してきたそうだ。
中松さんは、
2014年6月26日、86歳の誕生日に、
「導管がん」という大変珍しい「がん」に罹っていることがわかり、
余命は2015年末までと告知されたことを公表した。
去年末の12月24日、記者会見を開き、
「がん撲滅ロボット」を含む10の「発明」を完成させたと発表した。
効果については、「1月30日に再度、報告したい」として、
「その際には、皆さんの前に私のお棺がある場合と、
私が生きて座っている場合の2通りがある」とジョークを交えて説明。
そして、約束通り昨日、再び記者会見を開いた。
中松さんは、
1928年(昭和3年)、東京都生まれ。
5歳で「航空機自動重心安定装置」を発明。
よく知られる「灯油ポンプ」は中学2年生ときに考えだした。
「学芸大学附属小学校」から「東京大学工学部」を卒業するまで、
無遅刻無欠席の優等生。
東大卒業後は「三井物産」に入社。
ヘリコプターによる農薬散布などを発明し、
ANAの設立や三井グループの再編成に携った後に独立。
1957年、現在の「ドクター・中松創研」の
前身の「ナカマスコープ株式会社」を設立し
紙から音が出る「ナカビゾン」や「コンピュータ・メモリディスク」など
コンピュータ関連特許と発明件数は3500以上で世界一だ。
2005年に、34年間欠かさずに食事の写真に撮影し、
(現在まで45年続いている)
食べ物が脳の働きや体調に与える影響を分析した研究で
「イグ・ノーベル賞」 栄養学賞を受賞した。
中松さんが罹った前立腺導管がんは、
前立腺がん全体の1%に満たない極めて珍しいタイプのがんだという。
医療関係者がいう「顔付きの悪いがん」だった。
希少がんであるため、治療が確立されていない。
先端治療を受けられる医療機関を訪問したが、
すべて「治療法なし」の返答だった。
そこで、自分で「がん」を克服するために、
何をすべきかを計画立案した。
『がん等病気撲滅の発明DNT(ドクター・中松・セラピー)10』として、
10の項目を掲げ、「心を鼓舞する歌」をつくることや、「筋トレ」などの運動、
「がん撲滅ロボット」の開発などが含まれている。
その効果があってか、「余命2年」を超えて健在だ。
『ドクター・中松の最終講義 打ち破る力』(世界文化社)には、
元気の出るメッセージが、たくさん書かれている。
●困難を乗り越えることを 楽しみとしよう。
「凡人は安易な道を選ぶが、天才は困難な道を選び、
その過程を楽しみながら発明を生みだす」という意味があるという
「撰難楽(せんなんらく)」ということばが座右の銘。
告知当時の心境を
「月並みながんだったら面白くない。私に治療法発明のチャンスを
与えてくれたことを天に感謝する思いだった」という。
●単なる思いつきではなく 筋の通った理論が ひらめきのベースになる。
「スジ・ピカ・イキ」が発明の条件。
筋を通し、ヒラメキを社会に生かすもの。
●今まで考えもしなかった異次元のひらめきが
落雷したように脳天を貫き、その衝撃で全身が震える。
ヒラメキを引き出す五層のステップを「ヒラメキの五重塔」という。
「スピリット(精神)」「ボディ(体調)」「スタディ(理論)」
「経験~高齢者は長経験者」
「トリガー」~引き金ひいてヒラメキを爆発させる
●失敗を失敗で終わらせない絶対条件は
決してあきらめない「ネバーギブアップの精神」
これまで失敗したことがない。失敗を生かせば失敗にならない。
成功するまで絶対諦めない。 人生も後悔ゼロ。
失敗を恐れて何もしないのが、いちばん格好悪い。
●人に何といわれようと、地道にコツコツ積み重ねていると、
やがてそれが「とてつもない天才的なパワー」となる。
●心からまじめに言動する人が 最も信用され、最も確実に成功する。
自分自身の良心に対しても、心の底から真摯な言葉と行動を徹底。
●創造の根源にあるものは、愛と思いやり。 発明とは、愛の結晶。
利他的な思いが原動力になって、世の中に役立つ「生きた仕事」が出来る。
●1日24時間を3倍有効に使えば、3倍有効に生きられる。
睡眠時間4時間、1日1食。45年前から時間を3分の1に節約。
だから260歳の人生を謳歌している。
どこまでもエネルギッシュ、パワフルな人だ。
その源が、母が100歳の時、古希の中松さんに言ったことばだ。
「あなたは、まだまだ伸びる、超並です。
並を超えているのです。ガンガンやりなさい」
中松さんの創造の根幹にあるのは、母の慈愛だ。
いかに世の中の人を楽しませ、幸せにするか。
無限の伸びしろがあるのだから、諦めないこと。
どんな壁をも打ち破れる。そうすれば、新たな道が開拓出来る。
いいなぁ。こういう生き方、考え方。
中松さんが6月26日、
鎌田さんが6月28日、
ムカラミが6月30日。
3人で合同誕生会を開こうと盛り上がった。
中松さんも、
昨日の会見で「6月26日まで生きて発明を実証させたい」と語っていた。
超並ぶりを見せてほしい。