自分が変われば面白くなる | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。



このノリである。

学生たちといるとエネルギーをもらえる。

ことば磨き塾を終えたら、学生たちと飲み会に行くのが恒例になっている。

卓上に横たわっているのは田代翔吾くん。4回生だ。

彼は、自分を持て余していた。

自意識過剰だった。


初めて、彼が塾に来た日。

遅れてきたにも関わらず、悪びれもせず、

明るい大きな声で「こんばんわ~」と現れた。

無理して明るく振る舞っているのがミエミエだった。

彼にはトラウマがあった。

高校1年の夏ごろ、対人恐怖症から、摂食障害になった。

人に接するとき、無理して「明るく」して、自分の存在を誇張するようになった。

ただ「うるさいヤツ」だと思わせて、自分の内面を見せないようにした。

演技している自分をもどかしく思っていたが、やめられなかった。


この塾に来て、そんな自分を見抜かれ、

自分は自分でいいんだと思えるようになった。

等身大の自分を素直に出せばいいんだと思えるようになった。

自分に嬉しいことばを使うことで変化していった。

「ムラカミさんとの出会いがボクを変えた」と、

彼は、ボク以外の参加者に言っていた。

恥ずかしくて、僕には直接言えなかったようだ。


就職試験も、最初のうちはうまくいかなかった。

「誇張」が上滑りしたからだ。

自分らしくあればいいと思えるようになってからは、

落ち着いて冷静に「誇張」せず、ありのままの自分を見せられるようになった。

希望の商社に内定した。


彼は、自分を変えた塾に、次々友人を連れてくる。

昨日は、弟も伴った。

自己表現が得意でない弟は、最初はためらっていたが、

面白みを感じ、次回以降も参加したいと言ってくれている。


田代くんは、商社の人気者になり、誰からもかわいがられる存在になるだろう。

名前のごとく大いに「翔んで」ほしい。