インターをビューする | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。





(名古屋塾生だった平松隆則さんが参加してくれた)



大阪のことば磨き塾は、増殖中。

エントリーが40人を超え、

昨夜の参加者だけで30人は超えていた。

嬉しい悲鳴。

ことばのエネルギーがほとばしっていた。

みんな、ことばに対する危機感を持ちあわせ、

ゆえに、ことばを大事にしたいという想いは共通している。

だが、気軽に使えるはずの「ことば」なのに、気軽に使うのは難しい。

難しくていいのだ。

ことばはぞんざいに扱わないでほしい。

ないがしろにしないでほしい。

丁寧にラッピングして、優しく包み込んで、相手に渡してほしい。

ゆっくり熟成させて、発酵させて使ってほしい。

人の「ことば使い」を意識して聴ける場が、そんなにない。

ことば磨き塾は、それが出来る貴重な場なのだ。


インタビュー。

まさにインターをビューすること。

新人時代、先輩に言われたことを、いまだに金科玉条にしている。

人の心の内を詳らかにする。

人の心の引き出しを開ける。

聞き手、答え手、そのやりとりを聴く人の思いが、

ジグソーパズルのピースが合わさるように、

ぴったり符合したときほど、気持ちいいことはない。


新人のムラカミアナウンサーは、

質問することばかり考えていた。

相手の答えを上の空で聞いていた。

あるとき、とめどなく弾みながら面白くて深い話をするゲストに出会った。

質問することを忘れていた。

ただ聴き入っていた。

これでいいのだと気づかされた。

練りに練った質問など、自己満足にすぎない。

水を差さず、ただひたすら「聴く」ことなのだ。

聴き手は黒子でいいのだ。

ただ、いないと困る黒子でなければならない。

相手が話しやすい「愛づち」がうてる人でなければならない。


塾生のインタビューに応じながら、

インターをビューする面白さを体感してもらいたいと、

ことばを吟味しながら、答えるようにしていた。

己を「無」にして「素」にして、「構え」を取り払った人は、

インターをビューするのがうまい。

はぐらかすわけにもいかず、真摯に答えているうに、

身ぐるみ剥がされたような気分になった。