ついにこの時が来た。来てしまった。
『居眠り盤音』シリーズ最終巻51巻の最後のページを
いとおしむように閉じた。
児玉清さんや父とともに読み終えた。
最後の1行は、「寛政七年夏、空也の旅は始まったばかりだ」。
坂崎盤音の長男、16歳の空也が自ら望んだ剣術修行の旅に出る場面で、
シリーズは終わった。新たな希望を感じさせる。
藩命により親友を斬るはめになり、悲劇の幕開けとなったシリーズ。
主人公、坂崎盤音は、その運命を背負いながら生きていく。
51巻の物語には数え切れないほどの人物が登場したが、
盤音の周囲には、愛すべき人々が集まった。
彼の魅力に惹かれて、人が集まるのだ。
そして、彼を取り巻く人々に支えられて、盤音は失くしたものを回復していく。
田沼意次との暗闘は長く続いた。多くの武芸者とも渡りあった。
盤音は、いついかなるときも「平常心」を失わなかった。
「誠意」を尽くして、人に接した。
シリーズ終盤は、盤音の息子、空也の成長が頼もしく描かれていた。
熱烈読者の一人として、強く思う。
坂崎空也を主人公にした第二シリーズのスタートを心待ちにしたい。