五郎丸のことば | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。



去年の今頃、五郎丸歩の名前を知っていた人が、どれくらいいただろう。

ボクも知らなかった。

だが、あのポーズとともに、成功率抜群のキックとともに、

ワールドカップで、にわかに知名度が上がった。

今朝、「おはよう日本」のインタビューを見て、すごい男だと改めて思った。

「失敗しないと、得るものが少ない。逆境はチャンス」

「失敗して気づくことが楽しみ」

「失敗した先には、何かがきっとある」

自分の29歳は、まだまだ戸惑い続け、失敗を糧になど出来なかった。

失敗しては落ち込み、同じ失敗を繰り返す甘さもあった。


五郎丸さんは、名門早稲田で1年生からレギュラーに入り、

19歳で日本代表に入り、ラグビー人生は順風満帆だった。

だが、2011年、ワールドカップ直前になって日本代表から外された。

初めての挫折。

だが、当時を振り返り、

彼は「なんとなくラグビーをしていた。出る権利はなかった」という。

それからというもの、練習に明け暮れた。

くさっている暇を作らなかった。

特にキックを磨き上げた。30分蹴り続けたこともあった。

キックを蹴る前の「ルーティン」の1つに、

両手を組み精神統一を図るものがあるが、

彼の場合は左手の人差し指、右手の人差し指、中指、薬指を立てる

独自のしぐさを編み出した。

キックを蹴る時にはボールを2回回して芝に2回軽く叩いてセット。

3歩下がって2歩右に移動。ポーズをした後にキックする。

このポーズが「五郎丸ポーズ」と呼ばれるようになったのだ。

このしぐさ、動作、一つ一つのしぐさに集中して、キックすると、

成功率がぐんと高まった。挫折を糧にしたのだ。


2月、オーストラリアに渡り、スーパーラグビーに参加する。

「世界を美化するわけではないが、

 子どもたちは海外で活躍した選手にあこがれを持つ。

 子どもたちの目標になりたい」

マスコミの取材は、極力受けてきた。

ラグビーを知ってもらいたいという使命感がある。

自分の役割を認識している。すごい男だ。